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これで解決!問題社員の労務トラブル 〜会社も安心!社員も納得!〜 =第6回=「無断欠勤続きで退職手続きが取れないのですが」

ある日から突然出社しなくなり、そのまま無断欠勤が2週間続いている。本人と連絡を取ろうとメールを送っても返信はなく、携帯電話に電話をかけてもつながらない。両親に連絡すると、「本人は退職したいと言っている」というが理由は不明。やむを得ず解雇扱いにした途端、突然会社にやってきて「解雇は無効だ。退職する気はなかった」「解雇にするなら、30日分の解雇予告手当を支払え」などと、自己主張だけの社会的常識に欠けた発言をする。

ここ数年、このようなケースが増えています。無断欠勤が続き、退職手続きが取れないときには、どのように対処すべきでしょうか。

就業規則で「無断欠勤が2週間以上続いたときは懲戒解雇する」と定めている場合をよく見受けます。これは労働基準法の行政通達により、「理由の無い無断欠勤が2週間以上続き、出勤の督促にも応じない場合は、解雇予告除外認定として認める」とされていることからきています。

通常解雇として扱うには、30日以上前に解雇を予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。ただし、一定の理由により所轄労働基準監督署長の認定を受ければ、この解雇予告の制限を受けずに解雇を行うことができます。
また、「懲戒解雇」と聞くと、すぐにでも解雇をすることができそうですが、労働基準法では解雇予告除外認定を受けなければ、たとえ懲戒解雇であっても30日前に予告するか、30日分の予告手当を支払わないと解雇できないとされています。
実際には、労働基準監督署は解雇予告除外認定をなかなか認めません。認めてもらうためには、かなりの添付書類を揃える必要があり、時間も労力も掛かります。

そこで、無断欠勤時の退職手続きを円滑に進めるために、就業規則上で「自然退職」とするケースと「懲戒処分」となるケースを想定し、定めておくことが有効です。
自然退職として扱う場合には、具体的な退職理由として「会社に連絡がなく30日を経過し、会社も所在を知らないとき」と定めます。これにより解雇とするかどうかの問題を発生させず、当然に労働契約が終了される形とし、解雇予告や解雇予告手当の支払いなどの問題も発生させずに自動的に退職となるようにします。
「懲戒処分」として扱う場合の理由としては、「正当な理由なく14日以上の無断欠勤(社会通念上是認できないものとして会社が許可しないものを含む)したとき」と定め、これを「在籍していることを認めない違反」として明確にしておきます。

なお無断欠勤から退職となるケースでは、本人から退職届を受理することができないため、退職理由をどう扱うか問題になります。特に公的な助成金を申請している場合、会社にとってのデメリットも十分考慮し、退職理由をどう扱うか慎重に進める必要があるでしょう。

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執筆者プロフィール



成澤紀美(スマイング取締役、社会保険労務士)
人と建設と未来ラボ3
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