いまから備えるインボイス【第4回】 交付が免除される取引とは?
Q.交付義務が免除される取引とは?
A.主に建設業特有の経費処理における書類について確認してみましょう。交付義務が免除される取引のうち、建設業特有の取引に絞って解説します。
以下の取引では適格請求書などの交付が困難であるため、交付義務が免除されます。
@3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
A3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
建設業でも、電車・バスで移動し、電子マネーなどで支払いを行うことがあります。また飲料水を購入するときに自動販売機を利用して一服代として経費計上することもあるでしょう。このときには適格請求書などで経費精算はしなくても良いことになります。ちなみに、ETCによる高速代の支払いやタクシー代は交付義務の免除の対象になっていません。
Q.公共交通機関の特例とは?
A.上記@の通り、公共交通機関の範囲内に該当する旅客の運送とは、船舶、バス、鉄道・軌道のうち3万円未満のものとなります。3万円未満の判定は1回の取引の税込金額が3万円未満かどうかで判断します。従って、切符1枚の金額や月でまとめた金額で判断することはありません。具体的には、大人4人で新幹線に乗車して合計で5万2000円だった場合には、4人分の金額で判断することになります。
Q.自動販売機の特例とは?
A.上記Aに該当する自動販売機及び自動サービス機とは、飲料水の自動販売機、コインロッカー、コインランドリー、ATMの振込手数料といった、機械で代金の受領と商品やサービスの提供が完結するものとなります。一方で、セルフレジ(代金の精算のみが行われるもの)やネットバンキングなどのように、機械のみで完結しないものは3万円未満の特例に当てはまりません。
Q.帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合とは?
A.上記@Aのように交付義務が免除されている取引では、一定の事項を記載した帳簿の保存で消費税の控除が可能です。同様に、社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当などについても、通常必要と認められる部分は帳簿の保存により消費税の控除が可能となります。同じ措置は通勤手当についても設けられており、通勤に通常必要と認められるものであれば帳簿の保存で対応することが可能となっています。
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執筆者プロフィール
Liens税理士・行政書士事務所(東京都新宿区) 代表 税理士・行政書士
平成29年5月1日にLiens税理士事務所を開業。建設業とフォワーティング業に特化している。税務のほか資金繰り支援と補助金申請で関与先の資金繰り改善、事業計画の策定による経営改善を行っている。