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増え続ける労災=現場の安全に全力を注げ

2012/11/19 

建設業の労働災害が増え続けている。厚生労働省の直近の集計によると、2012年1〜9月期の死傷者(休業4日以上+死亡)は前年同期比3・1%増の1万1587人。とりわけ死亡者は深刻で、前年同期比25・2%増の258人に達した。
 このままいくと、死傷者が1978年以来33年ぶりに前年を上回った2011年(2万2372人)から2年連続の増加となるだけでなく、死亡者も過去最少だった11年(342人)から増加に転じる公算が大きい。
 厚労省は9月末、建設業労働災害防止協会などを呼んで、労働災害を減少させるよう緊急要請。席上、厳しい経営環境の中での「安全衛生管理体制の劣化」に懸念を示し、「いかなる経済情勢下にあるとしても、労働災害は本来あってはならない」と断じた。
 その上で▽安全衛生管理体制の充実▽個々の労働者の状況に即した安全衛生教育の実施▽「見える」安全活動など創意工夫した効果的な自主的安全衛生活動の実施―を強く求めた。
 また同省の東京労働局は、都内の労働災害の増加を受けて建設業団体などと「東京ゼロ災害運動」を展開しながらも、墜落・転落に代表される死亡災害の多くを団体の非会員が起こしていることを問題視。団体に加え、建築一式などの都知事許可業者約1万3000者に対しても、9月末から10月上旬にかけて労働災害防止対策の徹底を個別要請した。
 不況を背景に経営面で難しいかじ取りを強いられ、人材確保もままならぬ中、スピードが求められる震災復旧・復興事業が本格化するなど、建設業界の「安全」を取り巻く状況は一段と厳しい。
 ただ、長年にわたって労働災害の防止に不断に取り組み、その数を着実に減らしてきたことを考えれば、現状はまさに非常事態だろう。
 厚労省は「第12次労働災害防止計画」(13〜17年度)の骨子案で、計画の最終年度に建設業労働災害の死亡者を08年比30%減、死傷者を同22・5%減とする目標を定めた。また、国土交通省と連携して発注者に安全衛生の必要経費を積算するよう要請したり、一定条件下の作業でハーネス型安全帯の使用を義務付けるなど、より踏み込んだ方策を講じる姿勢を明確にしている。
 相変わらず墜落・転落災害が多くを占めていることを考えれば、建設業団体が先頭に立ち、義務化を前にハーネス型安全帯の積極採用を呼び掛けてもいいはずだ。
 10月に神戸で開かれた全国建設業労働災害防止大会は「トップとめざすリスクゼロ みんなでつなぐ安全の絆」をスローガンに掲げた。建設業界は元請け・下請け、団体の会員・非会員の別などを問わず一丸となって、全力で現場の安全を確保しなければならない。

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