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〜知らないではすまされない〜 建設業の社会保険未加入対策 第5回 未加入事業所からの「よくある質問」A

2012/12/7 

社会保険労務士法人エール代表、特定社会保険労務士 鎌倉珠美

社会保険労務士法人エール代表、特定社会保険労務士 鎌倉珠美

【社会保険から脱退した事業者が再加入できるか?】 
Q 10年ほど前に社会保険に加入していたことがありますが、経営難により、社会保険から脱退する「全喪(ぜんそう)届」を出し、現在は社会保険未加入となっています。再度、社会保険に加入したいのですが、加入できるのでしょうか。また、この場合、さかのぼって加入することになるのでしょうか?
【A】 加入できます。というより、法人であれば、代表取締役一人でも社会保険に加入しなければなりません(個人事業所の場合は常時5人以上の従業員を使用する場合、強制適用)。問題は、過去に社会保険に加入していた実態があるので、年金事務所に健康保険・厚生年金保険の新規適用届を提出する場合に、社会保険の適用年月日がいつになるかという点でしょう。保険料の徴収は時効が2年ですから、加入する際、2年さかのぼって加入を求められ、社会保険料も過去2年分請求されるのではないかと不安を持たれているかもしれません。
 この点について厚生労働省は、自主的に加入した事業所については、原則として「遡及してまでの加入は求めない」というスタンスです。自主的に加入する場合は、原則として「新規適用届」を年金事務所が受け付けた日、もしくは事実発生日が届書の提出月より前のときは、提出月の1日をもって適用されます。
 遡及加入を求められるのは、▽悪質な事業所と判断されるケース▽日本年金機構の立入検査などの結果を踏まえて加入させるケース▽建設国保組合に加入している事業所が適用除外承認申請を適法に行っていないことが明確に確認されたケース―などが挙げられます。加入指導を拒否し続けた事業所が、担当部局に通報され、職権で加入手続きとなった場合も同様です。このような場合は、事業実態がいつから継続していたかを確認され、最大2年遡及して適用されることがあります。
 今後は雇用保険情報との突合(とつごう、突き合わせ)、法務省の法人登記情報との突合(2013年度実施予定)なども予定されており、早い段階で事業所として「自主的に」加入されるべきでしょう。
 例えば、月給30万円の社員が10名いたとすれば、1カ月の社会保険料は労使合計で約80万円(協会健保・厚生年金の場合)、仮に2年間遡及すれば、なんと約1920万円(労使合計)になります。会社の経営状況によっては遡及によって、最初から保険料の納付が困難という事態に陥りかねません。分割納付を年金事務所に相談することもできますが、滞納した保険料には、延滞金が加算されますから、遡及は避けたいところです。つまり、自主的に加入するのが最善といえます。
 ところで、あなたの会社は以前、社会保険に加入されていて経営難から脱退されたとのことですね。以前は、経営難を理由に、社会保険の脱退を受理されていたケースもありましたが、現在は、経営難や社会保険料の負担が重いという理由で脱退することはできません。雇用保険被保険者が一人もいなくなった、事業実態がなくなったなどの証明がなければ、事業所としての社会保険喪失はできません。

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