【出席者】
・山口 悦子さん（オノコム） 入社約４年。建築工事施工管理。
・渡邊 千尋さん（加納工務店）入社約３年。建築工事施工管理。
・髙津 夏姫さん（鈴中工業） 入社約１年。建築工事施工管理。
・竹内 麻里子さん（文創） 入社約10カ月。内装工事施工管理。
・富久 麿衣さん（丸洋建設） 入社約1年。土木工事施工管理。
・小瀧 諒子さん（名工建設） 入社約３年。土木工事施工管理。
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ものづくりの素晴らしさに魅せられ
～私たちはなぜ建設業を選んだか～
愛知県建設業協会・建設業女性就業者座談会
建設業で働く人の高齢化と若者の入職者の減少を背景に、将来の担い手の確保が懸案になっている。
対策の一つが、建設業への女性の入職者の拡大だ。女性を惹き付ける魅力が建設業にあるのか。
そして、女性はどう建設業で能力を発揮できるのか―。
愛知県建設業協会が開いた座談会で、建設業に実際に入職して間もない６人の女性に話し合ってもらった。
司会 皆さんが建設業に入職された動機と現在のお仕事からお話しください。
山口 小さい頃から、ミニチュアの家など、ものをつくるのが好きでした。建築をやりたいとずっと思っていました。大学で建築を専攻し、就職する時にも、子供のころのものづくりの感動があったので、現場監督が一番自分に向いていると考えました。現在の仕事は、企業の工場や事務所、寮の改修などです。
渡邊 新聞の折り込み広告のマンションの間取り図を見るのが子供の頃から大好きでした。資格を取りたいという考えもあって建築学科に進みました。しかし、設計は苦手でした。でも、ものが出来上がっていくのを見るのが好きだったこともあり、施工管理がしたいと、現在の会社に入社しました。いまはリフォーム部に所属し、電球の交換から保育園などの改修工事まで担当しています。
髙津 私は子供の頃から「シルバニアファミリー」が好きでした。大学への進学の時も迷わず建築学科を選びました。しかし、正直なところ挫折しました。でも、せっかく建築を学んだのだからと薦められ、とても軽い気持ちで建設会社に入社しました。約１年経ったのですが、昨年12月、携わっていた建物が完成した時にはとても感動しました。施工管理の仕事は自分に合っていると実感しました。
竹内 家を見ることやインテリアを考えることが好きで、まったく別の業界から内装業の現在の会社に転職しました。一般の住宅を中心に、カーテンなど窓回りやクロス、床の提案から施工管理まで担当しています。
富久 東日本大震災をきっかけに防災に興味を持ち、土木を専攻しました。机にずっと座っているのが苦手なので、就職では、実際に現場の仕事を見た上で、施工管理をしたいと会社を選びました。現在、下水道工事の現場で仕事をしています。
小瀧 私の場合は、たまたま大学で土木を専攻し、実は３年生のインターンシップの時まで、ゼネコンという企業があることも知りませんでした。しかし、その時、高速道路を造っている現場を見て、「こんなふうに道路ができるんだ」とすごく感動しました。それで、建設会社に入社しました。外で仕事をしたかったのですが、最初の２年間は内勤の積算の仕事でした。希望がかない、約１年前から高速道路のジャンクションを造る現場で施工管理をしています。
司会 みなさん、ものづくりにあこがれて建設会社に入られたのですね。特に仕事でやりがいを感じるのはどういった時ですか。
山口 現在手掛けている建物の改修工事の現場では、毎日お客さんと顔を合わせています。仕事を見られているプレッシャーはあるのですが、工事が終わって、仕上がりを見たお客さんに喜んでもらった時が一番うれしいです。
渡邊 設計が苦手な私ですが、施工図を自分で描かなければならないことがあります。そんな時、自分の施工図がそのまま形になっていくのが楽しみです。また、保育園の改修の仕事などで、長期的な視点で改修計画を提案することもあります。そんな時、お客さんが納得し、自分が頼りにされていると感じることがやりがいです。
髙津 仕事を通じてたくさんの職人さんと仲良くなれるのが楽しみです。また、造った建物は長く残ります。建物が完成し、足場が取れた姿を見る時、やりがいを感じます。そして、建物を使う人の「ありがとう」という言葉が一番うれしいです。
竹内 自分の提案が通って、お客さんに喜ばれた時が一番楽しく、やりがいを覚えます。実は、現在担当している現場では、私の段取りのミスなどもあり、職人さんや元請けの監督さんからたくさん怒られ、たくさん泣きました。しかし、いまは皆さんが納得し、同じ方向に進み始めたところです。乗り越えなければならない壁はまだたくさんありますが、終わった時の喜びは半端じゃないでしょう。
富久 前にいた現場では橋の床版工事を施工していました。コンクリートを打設し、橋がつながった瞬間を見た時、とても感動しました。たくさんの人がかかわって、がんばった結果なのだと実感しました。開通したその橋を渡る時は、いまでもわくわくします。
小瀧 私はいま、高速道路の橋脚の基礎杭の施工を担当しています。基礎杭を打ち終わった時点では完成形は見えません。周囲にシートパイルを打って、掘削して初めて姿が現れます。ずれていたらどうしようと不安ですが、検査を受け、規格値内に収まっていることが確認できた時はとても達成感を感じます。
山口 現在手掛けている建物の改修工事の現場では、毎日お客さんと顔を合わせています。仕事を見られているプレッシャーはあるのですが、工事が終わって、仕上がりを見たお客さんに喜んでもらった時が一番うれしいです。
渡邊 設計が苦手な私ですが、施工図を自分で描かなければならないことがあります。そんな時、自分の施工図がそのまま形になっていくのが楽しみです。また、保育園の改修の仕事などで、長期的な視点で改修計画を提案することもあります。そんな時、お客さんが納得し、自分が頼りにされていると感じることがやりがいです。
髙津 仕事を通じてたくさんの職人さんと仲良くなれるのが楽しみです。また、造った建物は長く残ります。建物が完成し、足場が取れた姿を見る時、やりがいを感じます。そして、建物を使う人の「ありがとう」という言葉が一番うれしいです。
竹内 自分の提案が通って、お客さんに喜ばれた時が一番楽しく、やりがいを覚えます。実は、現在担当している現場では、私の段取りのミスなどもあり、職人さんや元請けの監督さんからたくさん怒られ、たくさん泣きました。しかし、いまは皆さんが納得し、同じ方向に進み始めたところです。乗り越えなければならない壁はまだたくさんありますが、終わった時の喜びは半端じゃないでしょう。
富久 前にいた現場では橋の床版工事を施工していました。コンクリートを打設し、橋がつながった瞬間を見た時、とても感動しました。たくさんの人がかかわって、がんばった結果なのだと実感しました。開通したその橋を渡る時は、いまでもわくわくします。
小瀧 私はいま、高速道路の橋脚の基礎杭の施工を担当しています。基礎杭を打ち終わった時点では完成形は見えません。周囲にシートパイルを打って、掘削して初めて姿が現れます。ずれていたらどうしようと不安ですが、検査を受け、規格値内に収まっていることが確認できた時はとても達成感を感じます。
司会 建設業の仕事は長い間、男の世界と言われてきました。女性として建設業で働いて、逆に男性より有利だと感じることはありませんか。
富久 私が現場にいると、男の人たちも怒りっぽくなったり、けんか腰になったりすることがなくなるようです。私が抜けた翌日に「きのうは危なかったよ」と言われたこともあります。女性が居た方が現場の空気が良くなるのかなと思いました。
髙津 先輩と職人さんがけんかしているところに、私が割り込んでちゃかすと、すぐに争いが収まります。女性が一人でもいると雰囲気が違ってきます。
山口 現場には、私にとってはお父さん世代、お祖父さん世代の人が多く、かわいがられている気がします。コミュニケーションの面でも、気さくにしゃべってくれる人が多い。特に女性のお客さんは話しやすいようです。男性の営業の先輩より、私が相談されたりすることがあります。
竹内 私は一般の家庭を訪問することが多く、日中だと奥さんやお子さんのいる家に入っていくことになります。そんな場合、女性だとお客さんも安心して、気楽に話せるようです。
山口 日中に女性や子供しかいない寮の改修工事では、男性ばかりの職人さんたちだけでなく、私が入ると安心だと聞いたことがあります。
富久 私が現場にいると、男の人たちも怒りっぽくなったり、けんか腰になったりすることがなくなるようです。私が抜けた翌日に「きのうは危なかったよ」と言われたこともあります。女性が居た方が現場の空気が良くなるのかなと思いました。
髙津 先輩と職人さんがけんかしているところに、私が割り込んでちゃかすと、すぐに争いが収まります。女性が一人でもいると雰囲気が違ってきます。
山口 現場には、私にとってはお父さん世代、お祖父さん世代の人が多く、かわいがられている気がします。コミュニケーションの面でも、気さくにしゃべってくれる人が多い。特に女性のお客さんは話しやすいようです。男性の営業の先輩より、私が相談されたりすることがあります。
竹内 私は一般の家庭を訪問することが多く、日中だと奥さんやお子さんのいる家に入っていくことになります。そんな場合、女性だとお客さんも安心して、気楽に話せるようです。
山口 日中に女性や子供しかいない寮の改修工事では、男性ばかりの職人さんたちだけでなく、私が入ると安心だと聞いたことがあります。
司会 現場への女性の入職者を拡大するため、専用のトイレや更衣室を設置する動きなどが広がっています。建設業への女性の入職を増やすために、どんな取り組みが効果的でしょうか。
渡邊 大学など学校で、実際に現場で働いている人の話を聞く機会があるといいと思います。建築だと、設計者の話を聞くことはあるのですが、施工管理の人の話を聞く機会はほとんどないのが現状です。
山口 現実にどうやって女性が男性の中で働いているのかロールモデルを知ることが大切です。女性でも働けることが分かるとずいぶん違ってきます。私は就職活動の時、女性の現場監督の方に話を聞き、仕事を選ぶきっかけになりました。
高津 作業服やヘルメットも、女性目線でデザインしてもいいですね。実際に作業服メーカーの寅壱はハローキティとコラボしています。工具類でも、私は色付きのハンマーを使っています。
竹内 私の会社は内装業ですが、内装業と言わないでインテリア業とうたったら、求人への応募が増えました。自分自身も「内装業って何？」という認識だったのですが、“インテリア業界”とインターネットで検索し、いまの会社を見付けました。認知度を上げるのに言葉を変えることも有効かと思います。
富久 就職を考えている時、就職担当の教授や、実際に建設業で働いている人から「現場監督は女性にはきつい。絶対に無理」と言われました。しかし、現在勤めている会社の説明会では「女性でも大丈夫」と聞きました。実際に自分がいま仕事をしている下水道の現場は、体力的にもきつい方だと思います。しかし、女性だから無理だとは感じません。「女性には無理だ」という意識を変えていく必要があります。
小瀧 いまの仕事に対して私自身は心配していなかったのですが、親以外、先生を含めみんなから反対されました。興味のある人は、実際に現場で働いている女性から話を聞くのがいいと思います。また、女性の意見も取り入れ、建設業のイメージを変えるようなＰＲをしていくことも必要ですね。女性が働きやすい環境や制度を整えているのであれば、積極的に発信するべきです。
司会 仕事への定着率を高めていくことも建設業の課題ですね。
渡邊 職人さんから厳しいことを言われてつらいとか、夜が遅いとか、そんなことが理由で辞める人が多いのだと思います。就業環境がもう少し変われば、離職する人も減ると思います。
高津 私は、女性の方が、根性が据わっていると思います。ただ、上司や先輩の影響は大きいですね。厳しさも必要ですが、食事に誘うなど、いろいろ声を掛けるだけでもだいぶ違います。定着率は入社後３年間が重要だそうです。その間に仕事の楽しさを感じさせる。そんな経験を積めるプロセスを会社はつくるべきです。
竹内 私の会社は年齢層が20～30代と若い人が多いです。年齢が近いと相談しやすさがあります。少し年上の先輩が愚痴も聞いてくれます。忙しいし、夜も遅くなるけど、困ったら助けてもらえるような関係づくりができているので、辞める人はあまりいません。
小瀧 ストレスがたまった時など、相談できる先輩がいるのは大きいと思います。私の会社にはブラザー・シスター制度という仕組みがあります。年の近い決まった同性の先輩と、入社後一定期間、食事などコミュニケーションするのに補助が出ます。そういった制度があるとだいぶ違います。
司会 仕事では、社内でのコミュニケーションも大切ですね。一方、建設業のそれぞれの会社で女性の技術者・技能者はまだ少数派です。しかし、国土交通省など行政と建設産業界は女性の入職を拡大しようとしています。今後、皆さんの後輩はますます増えるでしょう。皆さんの歩まれる道が、これからの建設業での女性の活躍につながっていくと確信します。本日はありがとうございました。
【関連情報】
女性が活躍できる建設業へ 2015/02/19
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女性技術者らが座談会③ 2015/9/9 中部
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渡邊 大学など学校で、実際に現場で働いている人の話を聞く機会があるといいと思います。建築だと、設計者の話を聞くことはあるのですが、施工管理の人の話を聞く機会はほとんどないのが現状です。
山口 現実にどうやって女性が男性の中で働いているのかロールモデルを知ることが大切です。女性でも働けることが分かるとずいぶん違ってきます。私は就職活動の時、女性の現場監督の方に話を聞き、仕事を選ぶきっかけになりました。
高津 作業服やヘルメットも、女性目線でデザインしてもいいですね。実際に作業服メーカーの寅壱はハローキティとコラボしています。工具類でも、私は色付きのハンマーを使っています。
竹内 私の会社は内装業ですが、内装業と言わないでインテリア業とうたったら、求人への応募が増えました。自分自身も「内装業って何？」という認識だったのですが、“インテリア業界”とインターネットで検索し、いまの会社を見付けました。認知度を上げるのに言葉を変えることも有効かと思います。
富久 就職を考えている時、就職担当の教授や、実際に建設業で働いている人から「現場監督は女性にはきつい。絶対に無理」と言われました。しかし、現在勤めている会社の説明会では「女性でも大丈夫」と聞きました。実際に自分がいま仕事をしている下水道の現場は、体力的にもきつい方だと思います。しかし、女性だから無理だとは感じません。「女性には無理だ」という意識を変えていく必要があります。
小瀧 いまの仕事に対して私自身は心配していなかったのですが、親以外、先生を含めみんなから反対されました。興味のある人は、実際に現場で働いている女性から話を聞くのがいいと思います。また、女性の意見も取り入れ、建設業のイメージを変えるようなＰＲをしていくことも必要ですね。女性が働きやすい環境や制度を整えているのであれば、積極的に発信するべきです。
司会 仕事への定着率を高めていくことも建設業の課題ですね。
渡邊 職人さんから厳しいことを言われてつらいとか、夜が遅いとか、そんなことが理由で辞める人が多いのだと思います。就業環境がもう少し変われば、離職する人も減ると思います。
高津 私は、女性の方が、根性が据わっていると思います。ただ、上司や先輩の影響は大きいですね。厳しさも必要ですが、食事に誘うなど、いろいろ声を掛けるだけでもだいぶ違います。定着率は入社後３年間が重要だそうです。その間に仕事の楽しさを感じさせる。そんな経験を積めるプロセスを会社はつくるべきです。
竹内 私の会社は年齢層が20～30代と若い人が多いです。年齢が近いと相談しやすさがあります。少し年上の先輩が愚痴も聞いてくれます。忙しいし、夜も遅くなるけど、困ったら助けてもらえるような関係づくりができているので、辞める人はあまりいません。
小瀧 ストレスがたまった時など、相談できる先輩がいるのは大きいと思います。私の会社にはブラザー・シスター制度という仕組みがあります。年の近い決まった同性の先輩と、入社後一定期間、食事などコミュニケーションするのに補助が出ます。そういった制度があるとだいぶ違います。
司会 仕事では、社内でのコミュニケーションも大切ですね。一方、建設業のそれぞれの会社で女性の技術者・技能者はまだ少数派です。しかし、国土交通省など行政と建設産業界は女性の入職を拡大しようとしています。今後、皆さんの後輩はますます増えるでしょう。皆さんの歩まれる道が、これからの建設業での女性の活躍につながっていくと確信します。本日はありがとうございました。
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