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 「SDGs待ったなし!」キーパーソン4人に聞く“在るべき姿”その2

A 中部SDGs推進センター戸成司朗代表理事インタビュー
B 岐阜県清流の国推進部 尾鼻智部長コメント
C 三重県戦略企画部 福永和伸部長コメント
 
A 中部SDGs推進センター戸成司朗代表理事インタビュー 
 
 
SDGs=人類が目指す2030年にありたい姿
 
1 SDGsとはどういうものか。
 
 1990年代に世界が高度成長期に入ったことで新興国が誕生するなど世界は豊かになったが、環境問題(温暖化)と格差が生まれた。これらの問題はその後解決するどころかより大きくなっていることは、誰もが知るところだ。そんな状況を前にして、このまま何もしないでいると世界と地球が滅びてしまうという危機感から生まれたのが「人類が目指す2030年のありたい姿=SDGs」だ。非常に難しい目標だが、「SDGsを達成する」という世界の流れは今後もより加速していく。そして30年の段階でポストSDGsが生まれることになるだろう。
 
 
取り組み企業が急増。建設業界でも「このままではだめ」の雰囲気
 
2 中部圏内でのSDGsの取り組み状況は。
 
 19年2月に中部SDGs推進センターを立ち上げたが、その時点で中部圏は関東圏と比べるとかなりの遅れがあった。しかし、トヨタ自動車の豊田章男社長が20年3月期決算説明会で「SDGsに本気で取り組む」と宣言したことが、自動車業界でのSDGs普及に強い影響力を発揮した。中部圏内は大きく動き出している。
 建設業界でも取り組む企業が増えてきているのを感じる。愛知県下の中小ゼネコンも、このまま変わらずにやっていけるとは思っていないようだ。造るところから壊すところまで行う建設業界は社会に大きな負荷をかけており、SDGsに取り組む企業は、いずれ自社が批判の対象になるのではという危機感を感じている。
 
 
SDGsの認証制度が始まる。取り組まないと「3取れない(客・人・金)」は確実
 
3 取り組まないことのリスクを教えてください。
 
 世界各国がSDGsを前提に動いていくので、取り組まないと事業ができなくなるだろう。この流れは確定的だ。アスベスト問題で例えると、ある時は非常に良い素材と言われ、地球への影響も考えずに使い続けた結果、日本全国で大問題になった。目の前の利益だけを追い求めてSDGsの視点を持たないと、「昨日まで許されていたことが明日には糾弾される」という状況に陥る。
 現在、内閣府から自治体にSDGsの認証制度のガイドラインが示されており、今後は正式な認証制度が生まれるだろう。そうなると入札資格など入札制度への影響も出てくるのではないか。このような社会の流れになっているので、取り組まないとリスクしかない。
 さらに、これからは、客や学生は企業を選別する際にSDGsへの取り組みを見るようになるので、何もしていないと客は去り、採用活動でも相手にされなくなる。金融関係ではESG投資が全盛なので融資・投資も受けられなくなる。つまり、取り組まないと、「お客が取れない、人が取れない、お金が取れない」の「3取れない」になってしまう。
 
 
4 取り組むことの利点は。
 
 SDGsは企業の成長戦略、革新の素になる。SDGsが目指す社会は人々がなりたいと思っている社会なので、そこに対してソリューション、解決策を提案できる企業が成長するのは当たり前だ。SDGsに取り組むことで成長するビジネスモデルを作ることができると言える。
 SDGsをコストや慈善だと誤解している人が多いが間違いだ。17の目標、169のターゲットを全部しなければならないというものではなく、この中で自社はどこで生き残っていくのかを見極め、他社との差別化をすることが必要。30年に会社がどのような理由で存在しているか、SDGsがその指標を示してくれる。経営に組み込むなら、自社の強み(コア・コンピタンス)やありたい姿(存在意義)を考え、自社の持続的成長に必要な具体的な目標を5、6個決めて中期ビジョンに盛り込むと良いだろう。
 
 
建設業界は今スタートでも十分間に合う
 
5 建設業界のSDGsの状況は。
 
 SDGsに取り組んでいる建設業界の企業は、原材料の調達から建築、最終的な建物の解体といった一連の流れの中で、自社と協力企業、下請け企業の仕事内容がSDGsに対してどのようなプラスの影響があるか、マイナスの影響があるかを整理するところまでは進めている印象だ。
 ただ、建設業界は社会に負荷をかける業界なので難しいところがある。全体的に見ても建設業界は遅れており、改善しなければならないことがたくさんあるが、逆に言えば今からスタートしても十分間に合う。良いアイデアを出せば中小企業でも最先端を走ることができるだろう。
 残念ながら建設業界は今後間違いなく縮小する。そんな状況の中で生き残るためのキーワードは、人々の価値観を変えるSDGsの実践だ。SDGsの考え方である精神的な豊かさや価値観が合う生き方、共感社会になっていくという動きを理解して、トータルでまちづくりする提案が必要になってくるだろう。トヨタ自動車が進めている「ウーブン・シティ」はSDGsのまちづくりとして新たな動きだ。建物をただ作るだけという企業は生き残れない。
 
 
アフターコロナがSDGsとデジタル化を加速
 
6 新型コロナウイルス感染症の混乱で見えた社会の変化とは。
 
 SDGsを目指すために最も有効なイノベーション(技術革新)がデジタル化だが、アフターコロナがSDGsとデジタル化を加速させた。例えばリモートワークなどはコロナ禍以前から取り上げられていたが、全く盛り上がらなかった。同様に、SDGsにつながる価値観の変化も以前からあったが、大きな問題が発生しないと意識されない。このように、「やらなければならない」と考えていたことが、コロナ禍によって「やらざるを得ない」ものに変わってしまったのだ。そして今起こっているコロナ問題が収束しても、「次の新たなコロナ問題」は必ず発生する。その時に何が加速するかを考えると、やはりSDGsとデジタル化になる。アフターコロナが新たな変化という人もいるが、そうではなく、以前から起きていた社会変化が加速していると考えるのが正しい。
 
 
7 開講する「SDGs経営塾2021」とはどのようなものか。
 
 未来を担う経営者、幹部を育てるという目的を持って開講する。定員は30人に絞って学ぶ。理由は、セミナーのように一方通行の講義ではなく双方向で議論し、メンバー間でコミュニティが生まれる環境を作りたいからだ。
 4〜9月で計6回のオンライン研修を行う。SDGsをコストや慈善と考えるのではなく、革新を引き出す成長戦略そのものになることを学び、受講者が実践への道を開けるようにする。最後には修了書を出す考えだ。
 
 
8 戸成氏の考えるSDGsとは。
 
 脱炭素のような環境問題は待ったなしの所まで来ており、格差は争いを生んでいる。このままでは地球と社会が持続可能でなくなり、若い人や子どもたちが問題を全部背負い込むことになる。これは私個人として耐えられないことだ。この危機感からSDGs推進の取り組みを始めた。
 本音を言えばSDGsの認証制度は推奨すべきことか迷う。本来は取り組んで当たり前のことだから、それを評価対象にするのはいかがなものか。「SDGsを加速させるためにはこのような制度も必要なのかな」と、少々残念ではあるが感じている。全ての人が当たり前のようにSDGsを実践するようになれば素晴らしい。
 
B 岐阜県清流の国推進部 尾鼻智部長コメント
  
 
オール岐阜で目指す持続可能な「清流の国ぎふ」
 
 岐阜県では、豊かな森林を源とする「清流」が県民のアイデンティであることから「清流の国ぎふ」づくりと銘打ち、地方創生を進めています。少子高齢化のみならず若者を中心とする人口流出により、地域経済を支える生産年齢人口の減少が顕著となり、河川や森林等の環境保全や自然災害への対策も課題となる中、当県では、「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」にSDGsを推進する旨を明記し、その達成に向けて取り組んでいます。  
 そうした取組みが認められ、当県は、2020年7月、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。これを機に、「オール岐阜」によるSDGs推進に向けた取組みを加速化しており、その一つが、SDGsに取り組む企業・団体などの連携を目指した「『清流の国ぎふ』SDGs推進ネットワーク」です。会員数は、20年4月の設立から1年足らずで600を超え、皆さまのご関心の高さと積極的な姿勢を大変心強く感じています。               
 持続可能な地域づくりを進めるには、SDGsの取り組みが幅広い分野や地域で展開されることが重要です。このため、例えば、建設・建築の分野では、建設業における担い手確保・育成の対策として「岐阜県建設人材育成企業」の登録や「ぎふ建設人材育成リーディング企業」の認定制度を運用し、労働環境改善や人材育成に取り組む企業を支援しています。
 当県では、『清流の国ぎふ』SDGs推進ネットワークを活用し、さまざまな情報発信や会員間マッチングなど、皆さまの活動を全面的にバックアップしてまいります。建設・建築業の皆さまも、是非、当ネットワークへご参加いただき、SDGs達成に向けた取組みを共に進めるため、ご支援・ご協力をお願い申し上げます。
 
C 三重県戦略企画部 福永和伸部長コメント
 
 
企業・団体のSDGs取組を「見える化」 SDGs登録制度の構築を進める
 
 三重県は、2020年7月にSDGs未来都市に選定されました。SDGs未来都市計画では、2019年12月に発表した「脱炭素宣言」をふまえ、脱炭素社会の構築に向けた取組を中心に、経済、社会、環境の三側面から持続可能な地域づくりを進めていくこととしています。
 本県では、特に若い世代が、進学・就職で県外に転出するなど、人口減少が続いています。脱炭素社会の構築に向けては、学生を中心に若者チームを設置し、脱炭素やSDGsの取組に参画してもらっています。若者が社会課題の解決に参画することで、シビックプライドの醸成や県内就業へとつなげ、地域で活躍する人材を育成していきます。
 また今後、地域の様々なステークホルダーと連携して地域課題の解決を図っていくためには、多くの企業・団体がSDGsに共感し、主体的な取組を進めていただくことが不可欠です。そこで、企業・団体のSDGsの取組を「見える化」し、その量的拡大、質的向上につなげるため、SDGs登録制度の構築を進めます。
 SDGsの17のゴールは、県の施策と様々な点でリンクしており、その方向性は同じだと考えています。ゴールの一つであるパートナーシップの推進においては、SDGs推進窓口(公民連携窓口)を設置し、企業や団体の皆さんから県との連携についてご提案いただいており、キャンペーンでの協働や寄附サイトの開設といった取組に結実しています。
 脱炭素をはじめとした地域課題の解決には、行政だけでは限界があります。SDGsという共通の目標に向け、企業や様々な主体に活躍いただき、「幸福実感日本一の三重」を実現していきたいと思います。
 
 
愛知県大村秀章知事インタビュー(前ページ)
 

 

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