■神奈川県司法書士会
空家問題対策委員会委員長 司法書士 今戸晴美(いまど・はるよし)氏
「下宿の復活と空き家対策基金の設立を」
空き家問題を解決するには、まず所有者を特定しなくてはなりません。
司法書士は、空き家・空き地などの所有者を把握するため登記簿調査や相続人特定のための戸籍調査などに協力します。また、成年後見申し立てや相続財産管理人、不在者財産管理人等の申し立てや就任についてもご相談を承ります。空き家に関する相談費用は一回5400円。お気軽にご利用ください。
〜今戸氏はさらに、空き家予防策として『下宿』を提案する〜
空き家は予防が重要です。空き家を所有するのは大半が高齢者。厚生労働省は、介護の将来像として「地域包括ケアシステム」を掲げ、国土交通省と連携して「高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備」に取り組みます。これに関連し、私は一人暮らしの高齢者に自宅を下宿として活用してもらうことを提案します。私が学生時代に下宿していた一軒家には、大学生が4人住んでいました。今でいうシェアハウスに近いのですが、大家さんと下宿人の距離がもっと近く、下宿のおばあさんの世話になると同時に、私たちもおばあさんの見守り役になっていたようです。
〜まちを良くするためのクラウドファンディングを〜
それでも空き家が発生した場合、除却するにも再整備するにも費用が掛かります。特定空家の除却工事を代執行するには税金が使われます。そこで、クラウドファンディングを利用して空き家対策基金を設立したらどうでしょう。ふるさと納税同様、自分の故郷や好きなまちを良くするための寄付です。
空き家は防犯、衛生、環境、資産価値の低下など地域の人たちに重大な影響を及ぼす社会問題であり、その対策は高齢者の支援策でもあります。一緒に考えましょう。
■昨年6月に特定空家を仲介
有限会社ダイ・ハード(横浜市泉区)代表取締役 五十嵐英成(いがらし・ひでなり)氏
「実際の交渉は宅地建物取引士に」
2015年5月、ハウスメーカーの方から小田原市のAさんに関する相談を受けました。
Aさんの自宅の隣の家が空き家になってから何年も経つが、まったく手入れがされておらず、雑草が茂り景観上見苦しく防犯面も心配だ。できれば土地を買い取って自宅をアパート併用住宅に建て替えたい。かれこれ10年ほど所有者の方を探しているが、どこにいるのか分からなくて困っている―とのお話です。
その空き家は特定空家に認定されたため、司法書士が空家特措法に基づき納税情報などをたどって調査し、Bさんという方が所有者だと分かりました。Bさんは高齢になったため、遠方のご兄弟の自宅近くの老人ホームにお住まいでした。早速Bさんを訪ね空き家の現状と隣家の要望をお伝えしたところ、土地と建物を譲渡して頂けることになり、当社で測量を行い価格も査定。空き家の解体費を差し引きし、相場より少し安い価格でAさんに購入していただきました。
〜近所づきあいがカギ〜
BさんはAさんのお父上と懇意にしていらしたそうで、代替わりしたのですねと話しておられました。仮にAさんとBさんが知らない人同士または仲違いした間柄であったら、今回の話がスムーズに運んだかどうかは分かりません。そのあたりの機微をとらえ、信頼関係のもと、売り主さん・買い主さん双方の最適なところで折り合い仲介するのが私たち不動産屋です。
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