薄氷の第一歩B 災害対応への適用を除外|建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞
建通新聞

ログイン

伊賀市役所

薄氷の第一歩B 災害対応への適用を除外

2024/4/17 

労働基準法の特例.jpg

気候変動の影響によって、総雨量1000_を超える大雨が頻発し、全国で大規模な水害・土砂災害が増加している。今年1月に発生した能登半島地震では、石川県を中心とする北陸地方のインフラに甚大な被害が生じた。災害が発生するたび、建設業は昼夜を問わず災害対応に従事する。災害対応が長引くことによって、災害に従事する労働者の労働時間が、時間外労働の上限規制を超えることもあり得る。
 建設業に時間外労働の上限規制が適用されたことに伴い、労働基準法には復旧・復興事業の特例(第139条)が新設された。三六協定届に災害時の復旧・復興への対応が見込まれると記載すれば、復旧・復興事業に従事した場合、時間外労働と休日労働の合計が「単月100時間」「2カ月〜6カ月の複数付き平均80時間以内」を超えても、適法と判断される。
 ただ、時間外労働を「月45時間、年360時間以内」とすることや、特別条項を結んでも突破できない「年720時間以内」「月45時間超は6カ月の限度」といった規制は適用される。手続きが簡易である反面、災害の規模によっては、この第139条では時間外労働が上限を超えることを回避できないことも想定される。
 このため、災害が発生した地域などで、これから建設業から適用申請が増えそうなのが労働基準法「第33条」の特例だ。
 この特例は災害など緊急事態の対応について、時間外労働の上限規制の適用を除外するもので、三六協定で定める限度とは別枠で、時間外・休日労働させることが可能になる。
 この特例の適用を受けるためには、労働基準監督署に事前の許可を受けるか、事後に届け出を提出する必要がある。時間外労働規制がほぼ適用されないこの特例は、最悪の場合、労働者に健康被害を及ぼす恐れもあるため、厚生労働省は「災害対応の場合でも、個別に緊急性を判断する」(労働基準局監督課)との見解を示している。
 届け出の際、緊急性や公共性を労基署が判断できる資料としては、地方自治体の出動要請や復旧工事の契約書・指示書などが有効。すでに一部の自治体では、災害対応を要請した際の出動要請書を速やかに発行し、届け出に添付するよう、対応を決めている。監督課では「発注者に提出する現場写真なども判断材料となり得る」と話す。
 第33条の特例は、災害対応に限らずに適用する特例であるため、これまでも鉄道会社が夜間作業などの際に利用してきた。建設業でも、夜間作業を伴うインフラの維持修繕などに適用することも可能だという。

いいね 0 ツイート
いいね 0 ツイート
人と建設と未来ラボ2
この年の国土交通省の発注予定案件 この年の国土交通省予算情報
電子版のお申し込みはこちら 新聞(宅配)のお申し込みはこちら
カタログカタログ