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薄氷の第一歩C意識を変える、現場が変わる

2024/4/24 

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現場の働き方改革に必要なものは何か。業務のアウトソーシングやDXに加えて、東亜建設工業が着目したのが、若手からベテランまで抵抗なく意見を交わせる「心理的安全性」の確保だ。2023年に五つのモデル現場で導入した「カエル会議」を通じ、同社はボトムアップで働き方を見直そうとしている。
 東亜建設工業が主力とする海洋土木工事では、気象・海象が工程に大きく影響する。時間外労働規制を順守するためには、現場の実情に合った働き方の見直しが欠かせない。だが、働き方改革推進責任者を務める福地康幸氏はある現場で、「何から始めればいいのか、イメージがわかない」と言われたことがあるという。同社がワーク・ライフバランス社の協力を得て導入したカエル会議は、こうした課題の突破口となった。自身の仕事を振り返り、働き方を”変える”ことで早く”帰る”―当たり前にも聞こえるカエル会議の活動だが、試行現場ではさまざまな工夫を凝らし、参加者の前向きな姿勢を引き出した。福地氏は「時間外労働規制の順守には、一人ひとりの本気が必要になる」と強調する。
 カエル会議のモデル現場の一つ、新本牧中仕切作業所(横浜支店)では、意見を言いやすくするため、菓子や飲み物を用意して参加者の緊張をほぐす「アイスブレイクタイム」を毎週の打ち合わせで設定。業務中も上司に質問可能なタイミングを可視化し、KY用紙や点検表のペーパーレス化、チャットツールによる情報共有の高速化など業務改善につなげた。
 秋月JV作業所(中国支店)では、作業所員間のコミュニケーション活性化により、女性社員の新たなワークスタイル構築に取り組んだ。他現場で現場代理人となっている若手社員が参加するLINEグループを開設し、入社3年間で現場代理人となった女性技術者のフォロー体制を構築。若手のスキルアップ、業務分担により作業所員全体の労働時間削減につなげた。
 モデル現場での取り組みは今、同社内で波及しつつある。FFR深江浜町作業所(西日本建築支店)でカエル会議に取り組んだある若手社員は、現場の竣工後、新たな配属先でも実施を提言。水平展開に向け、今後は会社のサポート体制の充実が必要だとした。
 2月に開かれたモデル会議の成果報告会で、東亜建設工業の早川毅社長は「心理的安全性を土台とした対話がいかに大切か」とコメント。この取り組みを支援したワーク・ライフバランスの浜田紗織取締役は「シニアの活躍や、女性現場代理人の輩出、協力会社との円滑な連携を成功させた」と指摘した。現場のコミュニケーション改善を起点とした働き方改革は、労働時間の短縮だけにとどまらず、魅力ある職場づくりをも可能とするポテンシャルを備えている。

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