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Catch-up <2021年12月〜2022年1月号>

建設業に関わるトピックスを分かりやすく解説するコラム『Catch-up』のバックナンバーです。
 

再就職する退職自衛官 建設現場の即戦力に 2021/12/3

 建設業の入職者に占める転職入職者の割合が増加している。厚生労働省の雇用動向調査によると、2019年度の建設業への入職者のうち、建設業以外の業種からの入職者は38・7%に上り、10年前の09年度と比べ12・1ポイント上昇した。中途採用の技術者・技能者の中でも、特に現場で高い能力を発揮し、即戦力となっているのが退職自衛官だ。
 自衛官は、2〜3年の任期制自衛官が大半を占める。幹部への昇任を希望しない自衛官は、任期を終えた20歳代で退職し、民間企業に再就職する。20代で退職する自衛官の再就職を支援するため、防衛省は自衛官の在職期間中に再就職の役に立つ資格の取得を支援している。
 在職中に取得できる資格には、車両系建設機械、電気工事士、電気主任技術者、玉掛技能者、非破壊検査など、建設業向けの資格も数多くある。災害対応などの任務に当たる自衛官の中でも「特に陸上自衛隊の施設科所属の自衛官は建機の扱いにも慣れているため、建設業との親和性も高い」(防衛省人事教育局人材育成課)のだという。
 実際、2020年度に再就職した自衛官のうち、建設業を再就職先に選んだ退職自衛官は全体の1割に上るという。もともと任期付きで採用している自衛官は『自衛隊を中途で退職した』とみられることがある。防衛省では「任期終了後の若い自衛官を自衛隊新卒≠ニ呼び、各産業に雇用を呼び掛けている」(人材育成課)。
 ただ、一般の転職入職者と自衛官が異なるのが「予備自衛官」と「即応予備自衛官」という仕組みがあることだ。この仕組みでは、有事や大規模災害の発生時に動員力を確保するため、予備自衛官などへの任官を希望した退職自衛官を平時から訓練し、緊急時に召集する。
 予備自衛官らは、災害発生時や訓練の期間、職場を一時離れることになる。防衛省は、訓練・災害召集が雇用の障壁とならないよう、訓練などに赴く予備自衛官への手当てとは別に、雇用企業に対する給付金制度も設けている。訓練日数が年間30日に上る即応予備自衛官では、年間51万円が雇用企業に給付される。
 また、予備自衛官を雇用する企業には、防衛省が発注する自衛隊施設の建設工事でもインセンティブを与えている。予備自衛官・即応予備自衛官を雇用し、現場に配置する企業は、入札時の総合評価方式で加点措置を受けられる。
 少子化による若年人口の減少は今後さらに加速する。建設業の採用活動もより厳しい産業間の競争にさらされる。退職した自衛官をはじめ、さまざまな人材を受け入れることが、施工力を維持し、企業としての持続可能性を高めることにもつながる。
 
 

21年度補正予算成立へ 新たな経済政策が本格始動 2021/12/17

 岸田内閣が初めて編成した政府の2021年度補正予算が、週明け12月20日にも成立する見通しだ。21年度補正予算は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、岸田首相が提唱する『新しい資本主義』の実現、国土強靱(きょうじん)化などを柱とする、経済対策の財源となる。歳出総額35兆9895億円は、補正予算として過去最大の規模だ。
 21年度補正予算の成立により、政府は新型コロナウイルスの感染が再び拡大することに備えた危機管理に加え、ウィズコロナの下での社会経済活動の再開を後押しする。さらには、カーボンニュートラルやデジタルなどの分野へのイノベーション投資、子育て世帯への現金給付や人への投資により、「成長と分配の好循環」をつくる。
 公共事業費には2兆0019億円を計上し、昨年1月に成立した20年度第3次補正予算(公共事業費2兆4610億円)に続き、2年連続で2兆円を超える大型の予算を追加する。過去10年で見ると、補正予算に2兆円を超える公共事業費が計上されるのは、12年度と20年度に次いで3回目となる。
 公共事業費のうち、2年目を迎える「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」には、1兆2539億円が計上された。事業規模15兆円程度の加速化対策は、この段階で4割程度の予算を確保したことになる。
 財務省の財政制度等審議会が12月3日にまとめた建議では、加速化対策によって補正予算の公共事業費が大型化し、翌年度への繰越額が増加していることを問題視している。こうした声を踏まえ、21年度補正予算には「事業加速円滑化国債」が盛り込まれている。
 これまでの補正予算には、初年度の支出はゼロだが契約だけは済ませ、翌年度当初から工事に着手できる「ゼロ国債」を確保するのが一般的。事業が翌々年度にまたがる複数年度の国債工事を補正予算に盛り込むことはなかった。事業加速円滑化国債を活用することで、3カ年、4カ年の複数年度にまたがる大型事業を補正予算で計上することを可能にした。
 政府の経済対策には、コロナで疲弊した経済を自立的な成長軌道に乗せるため、「経済対策の風を全国津々浦々までいきわたらせる」とある。21年度補正予算は、24日にも閣議決定する22年度当初予算案と一体の「16カ月予算」として執行する。新しい資本主義の起動と成長と分配の好循環の実現に向け、岸田内閣の経済政策が本格的にスタートする。
 
 

笹子トンネル事故を教訓に 老朽化対策はどう進んだ? 2022/1/7

 2012年12月2日、中央道笹子トンネルの換気ダクトに設置されていた天井板の崩落により、9人の尊い命が失われた。インフラの老朽化の実態を社会全体に知らしめることになったこの事故が発生し、今年で10年目を迎えた。
 笹子トンネル事故が発生した12年度の公共事業費(12年度当初予算)は、政府全体で4・6兆円。公共事業費がピークだった1997年度の9・8兆円と比べると、半分以下に落ち込んでいた。インフラの維持管理予算も抑制され、管理水準も低下していた恐れがある。
 また、公共事業費の使途をまずは「新設」に振り向けるそれ以前の意識が色濃く残り、老朽化対策や維持管理がおろそかになっていたことは容易に想像できる。
 事故発生の直後に発足した第2次安倍内閣で、国土交通相に就いた太田昭宏氏は、翌13年を『メンテナンス元年』と位置付け、インフラの老朽化対策を計画的、戦略的に進める姿勢を示した。
 国交省は14年7月、全ての道路管理者に対し、道路橋とトンネルの定期点検と診断を義務化。当時、技術職員が不足する地方自治体からは、遠望目視や点検頻度の緩和を求める声もあったが、国交省は「近接目視」と「5年に1度の定期点検」とする姿勢を貫いた。
 その一方、国交省は人手や予算が不足している自治体を支援するため、ドローンなどの新技術の現場実装にも着手した。高所作業が伴う橋梁の点検は、足場を組んだり、通行規制を実施して点検車両を用意する必要がある。ドローンを活用すれば足場や通行規制は必要なく、ドローンが撮影した画像で損傷を確認できる。
 5年周期の定期点検の一巡を待ち、国交省は19年2月に定期点検要領を改定し、ドローンなどを点検に活用できるようにした。「点検支援技術」として同省が認めている技術は、21年10月までに131技術に上っている。
 新技術を活用するための環境整備が進んだ結果、インフラの点検・診断に新技術を導入している施設管理者は、19年度の35%から21年度に46%まで伸びた。
 ただ、市町村の導入状況を見ると、人口50万人以上の市では新技術の導入率が76%と高い水準にあるのに対し、人口規模が小さくなるほど導入率が下がっている。人口1万人未満の町村で見ると、導入率は28%まで落ちる。
 人口規模の小さい市町村ほど新技術のニーズは高いはずだが、技術職員数が少ないために技術の有効性を判断できなかったり、新技術を使いこなせる委託先がない、といった課題があるという。
 さらに言えば、点検・診断によって補修や修繕の必要性が分かっても、十分な予算がないために対策工事の実施が遅れているケースもある。点検・診断だけでなく、補修・修繕工事を効率化するための新工法・新材料の導入も急務だ。
 
 

国庫債務負担1・4倍に 単年度主義の弊害を是正 2022/1/21

 1月17日に召集された通常国会で審議される政府の2022年度当初予算案には、国庫債務負担の新規設定額として2兆1352億円が確保された。前年度額比で36・4%増、金額にして5700億円の増額だ。政府は昨年末に成立した21年度補正予算でも、債務負担の新規設定額を増額させている。政府予算の債務負担の増額にはどのような狙いがあるのだろうか。
 国の予算は、会計年度ごとに国会が議決しなくては成立しない。憲法(86条)にも「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」とあり、このことは『予算の単年度主義』として原則化されている。
 これは、内閣が編成した予算を国会がコントロールする審議権を担保するためのものだが、この原則に縛られすぎると、支出を翌年度に繰り越すことが難しくなり、年度末までに無理やり予算を執行する事態に陥る。3月を工期末とする公共事業が多く、受注者である建設業が繁忙期となるのもこのためだ。
 単年度主義の弊害の是正を目指している岸田内閣は、組閣後初めて編成した21年度補正予算、それに続く22年度当初予算案でそれぞれ債務負担の大幅な増額に踏み切った。
 予算の単年度主義の例外として認められている債務負担は、工期が単年度で収まらないケースがある公共事業で一般的に活用されている。
 ただ、補正予算に事業費を計上する「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」では、後年度の支出を担保することが難しく、複数年度にわたる大型事業の予算計上が難しい、という課題があった。
 昨年12月に成立した21年度補正予算で、国土交通省は補正予算で初めてとなる複数年国債「事業加速円滑化国債」を確保し、国土強靱化の加速化を図るとした。
 さらに、施工時期の平準化を目指している国土交通省は、工期1年未満の工事を対象とする「平準化国債」も大幅に増額し、22年度当初予算案で「平準化国債」の新規設定額を9712億円確保している。
 単年度予算によって、年度末に繁忙期、年度当初に閑散期が生じることは、受注者である建設業にとって長年の課題だ。閑散期である4〜6月の労働力・建設機械・資材の稼働率が向上すれば、生産性は飛躍的に向上する。1〜3月の繁忙期が解消に向かえば、長時間労働の是正にもつながる。
 債務負担の活用により、国土強靱化の加速、建設業の生産性向上と働き方改革という、複数の政策目標の実現を目指す。
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    連載「脱炭素のホンネ」
    改正建築物省エネ法の成立は、建築分野の脱炭素化に向けた大きな一歩となった。新築建物については種類を問わず、省エネルギー基準への適合が義務化されることとなった。だが、ある“難題”がまだ立ちはだかっている。

  • インフラメンテナンス 次の10年

    インフラメンテナンス 次の10年
    9人の尊い命を奪った中央道の笹子トンネル天井板崩落事故から10年がたった。国の調査委員会が「わが国において例を見ない」と形容したこの悲劇をきっかけに、インフラ保全の重要性が改めて強く認識され、日本のメンテナンス行政は大きく動いた。

  • いまから備えるインボイス

    いまから備えるインボイス
    2023年10月以降、事業者が発行する請求書等は適格請求書等(インボイス)になります。建設業もいまから対応に向けた準備が必要です。

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