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「2020年の東京」への実行プログラム

2012年1月建通新聞東京掲載

 

 東京都は、東日本大震災で浮かび上がった課題の解決と東京の都市機能の向上を目的に、今後10年間の都政の指針となる「2020年の東京計画」を2011年末に発表。合わせて策定した直近3カ年の実施計画『「2020年の東京」への実行プログラム2012』では、12〜14年度に約2・2兆円を投じ、防災・エネルギーなどに関する施策を重点的に進める姿勢を示した。
ここでは、「防災対策」「環境・エネルギー政策」「国際競争力の向上」「オリンピック招致・緑化」の各事業を紹介する。

 

防災対策


【約3000棟を13年度までに耐震診断 高齢者施設耐震化へアドバイザー派遣も】
防災関連施策には12〜14年度の3年間で総額7540億円の事業費を投入する。このうち建築・土木施設の耐震化には約9割に当たる6578億円をつぎ込む。
ことし4月に特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断が義務化されることに伴い、未耐震・耐震診断未実施の建築物(約3000棟)の耐震診断を13年度末までに完了させる。加えて「耐震マーク表示制度」の創設や、改築・改修工事への費用助成などを通じて、建物所有者の取り組みに拍車を掛ける。
小中学校や民間の保育所などについても、耐震診断や改修の費用を助成。公立学校は12年度、私立学校は13年度に全校の耐震化完了を目指す。保育所への助成では、仮設施設の整備や土地の貸借費用のメニューも追加する方針だ。
高齢者が利用する社会福祉施設などに対しては、新たに診断・工事費を助成したり、アドバイザーを派遣するなどの手立てを講じ、社会福祉法人を支援する。


【多摩南・秋南道整備を位置付け 東部低地帯の水門耐震化は13年度完了へ】
一方、土木施設などの耐震化では、多摩川南岸道路と秋川南岸道路の整備を新規に盛り込んだ。これらを多摩山間部唯一の幹線道路である青梅街道のバックアップ路線とすることで、災害時の避難や交通の円滑化に役立てる。
また、老朽化の解消を目的に10年度から開始したモルタル吹付斜面の安全対策工事についても、早急に対策が必要とされる132カ所のうち、62カ所を14年度までに施工する。
津波・高潮対策については、まず東部低地帯にある水門の耐震化を13年度末までに終える。ほかのエリアの水門や排水機場でも、直下型地震などを原因とする最大規模の地震動(レベル2地震動)に対応できるよう、耐震性能を引き上げていく構え。

【木密不燃化10年PJ 整備地域の未着手都計道を調査・測量 住宅不燃化へ新スキームも構築】
12年度からは「木密地域不燃化10年プロジェクト」も本格的にスタートする。
都の「防災都市づくり推進計画」で、地震発生時に大きな被害が想定される「整備地域」(28地区約7000f)内の主要な都市計画道路のうち、未着手区間の基礎調査や測量を推進。14年度までに事業化の条件を整える。
住宅の不燃化に向けては、都独自の不燃化促進税制の導入を検討。都有地を活用したまちづくりへの支援策など、意欲ある地域が主体的に事業に取り組めるスキームも12年度中に構築する。合わせて、3地区程度を選定し、地区内外を問わず大きな効果が期待できる施策を都と区で連携して行う。


防災関連施策年次計画



環境・エネルギー政策


 東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以来、東京都内は、慢性的な電力不足に見舞われている。災害時の停電に備える観点からも、新たな電力源の確保は喫緊の課題だ。都は『「2020年の東京」への実行プログラム2012』で、2014年度までに360億円を投じ、昨夏から検討を開始した天然ガス発電所の建設や、自立分散型発電やスマートシティの実現に取り組むとしている。プログラムに盛り込まれた環境・エネルギー関連の施策内容を紹介する。

【発電所は14年度末までに事業着手 都住跡地など活用でエネルギー効率化のモデル事業も】
天然ガス発電所は、福島第一原発の事故などに伴う都内の電力不足を解消するため、100万`h規模で建設する。現在は、猪瀬直樹副知事がリーダーを務めるプロジェクトチーム」(PT)で建設候補地や事業スキームなどを検討中だ。12年度以降も引き続きPTなどでの検討を通じて詳細を詰める。14年度末までの事業着手を目指している。
自立分散型発電の確立に向け、コージェネレーションシステムの導入も拡大する。特定都市再生緊急整備地域や総合特区制度を活用して、大規模開発に合わせた機器の設置を誘導するほか、病院や中小企業、一般家庭に対しても設置費用の助成などの支援策を講じる。
「都市再生ステップアップ・プロジェクト」を行う竹芝地区などで、都有地や都営住宅跡地を活用したエネルギーマネジメントに関するモデル事業を展開し、エネルギー効率化への施策の方向性を探る。臨海副都心地域でも、災害時に地域の主要施設が自立的に事業継続できるよう、電力と熱を供給する新しいネットワークを築く考え。

【低炭素化 事業費は1415億円 節電事例などセミナー開催 住宅の高断熱改修など促進】
低炭素化に関する施策では3年間の事業費を1415億円と見積もった。
新規事業として、事業所で行われている節電への先進的な取組事例などを紹介するセミナーを開いたり、区市町村が実施する低炭素・分散型エネルギー推進への取り組みを支援するなど、官・民の両方から節電の意識啓発を進める。
施設の温室効果ガス削減については、11年7月に策定した「省エネ・再エネ東京仕様」を適用して都有施設の省エネ化と再エネ利用を促進する。下水汚泥の炭化・ガス化施設の整備を進めることで、一酸化炭素の排出量も低減を図る。
民間の住宅に対しては、費用助成などで太陽熱利用システムを普及拡大と技術開発を同時に進める。省エネ改修の計画についての調査結果などを踏まえ、高断熱化などの改修工事も進める構え。

【都市環境関連=1304億円投じて雨水貯留施設など整備】
都市環境関連の施策には3年間で1304億円を投入する。多摩川や東京湾内湾などの水質改善を目的として、14年度末までに約10万立方b分の雨水貯留施設と、4カ所の高度処理施設を整備する事業などを位置付けている。


環境・エネルギー関r年施策年次計画



国際競争力の向上


 東京都の『「2020年の東京への実行プログラム2012』では、東日本大震災を踏まえ、より強固な都市基盤を東京に形成し、国際競争に勝ち抜いていける都市へとステップアップさせる施策を掲げた。具体的には、臨海副都心を国際会議や観光客誘致の拠点とするため、環状第2号線などの都市基盤と関連施設の建設を推進。三環状道路や区部・多摩の主要な幹線道路の整備も進めて交通渋滞の解消につなげる。これらの事業に2012〜14年度で7370億円をつぎ込む。

【都市機能強化へ1695億円 臨海地域=国際会議など誘致へ道路・施設建設促進】
東京の国際競争力向上に向けた道路・港湾整備関連事業のうち、都市機能の強化施策には14年度末までに1695億円を投入する。
新たに臨海地域の機能向上を位置付けており、11年12月の「アジアヘッドクォーター特区」の指定などに基づいて、国際会議や海外からの観光客誘致に役立つ施設の建設を促進する。
豊洲〜虎ノ門間で施工中の環状第2号線を15年度中に開通させるほか、国道357号の整備などで都心とのアクセスを向上させる。
都心部では、震災・戦災復興で手付かずのまま残った新橋や虎ノ門などの小規模な街区を統合して大街区化。建物の共同建て替えなどによる不燃化と道路整備を一体的に進める。
品川・田町駅周辺地域については、リニア中央新幹線の整備や羽田空港の国際化に伴い、業務・商業などの多様な機能の集積拠点とするため、14年度末までに交通基盤整備事業を本格化させる構え。

【道路ネットワーク整備に5781億円 飯能所沢線の都内接続検討も】
道路ネットワークなどの整備には3年間で5781億円を充てる。三環状道路は14年度末で約80%の整備率を目指す。
中央環状品川線と、圏央道の高尾山インターチェンジ(IC)〜青梅街道IC間を13年度に開通させる。12年度の着工が決まった外環道については、大泉ジャンクション(JCT)周辺の用地取得に加え、東名高速以南の事業化に向けた検討も行う。
環状道路周辺の道路網を充実させるため、外環中央JCT付近の三鷹3・4・12号線などの整備にも着手することにしている。
都市計画道路の整備では、新青梅街道(上北台付近など)や東八道路(府中国立区間)などの多摩東西4路線や、府中清瀬線、調布保谷線といった多摩南北道路の整備を促進する。埼玉や神奈川といった隣県とのアクセス向上を目的に、飯能所沢線の都内接続なども検討していく。
港湾・空港への物流機能を確保するため、臨海地域につながる主要な幹線道路の橋梁の耐荷力を引き上げて、総重量の制限値が最大25dの「重さ指定道路」(現状は総延長329`)を13年度までに21`延ばすことにもしている。


都市基盤整備関連施策年次計画


オリンピック招致・緑化


 東京都の「2020年の東京」は、東日本大震災で顕在化した課題の解決とともに、オリンピック・パラリンピック開催実現を目指す2020年までの政策の方向性をまとめている。五輪の招致活動を12年度から本格的にスタートさせるため、『「2020年の東京」への実行プログラム2012』では、14年度末までに1343億円を投じ、国の国立霞ケ丘競技場の建替促進を図るとともに、都内のスポーツ施設の整備を一層推進することにしている。都内の公園整備や緑化施策も含め実行プログラム2012に盛り込まれた事業を紹介する。

【国立競技場の建替促進 周辺まちづくり方針も検討】
都では、震災復興の象徴として、低迷する経済などを活性化することなどを目指し、昨年7月に20年開催のオリンピック・パラリンピックの招致活動への立候補を表明。翌8月にはスポーツ振興局内に招致推進部を設置して、ことし2月にIOC(国際オリンピック委員会)に提出する申請ファイルの内容を検討している。
実行プログラム2012では、五輪と、13年の「スポーツ祭東京2013」の開催に向けた施設整備などを位置付けた。
五輪のメイン会場として活用する方針の「国立霞ケ丘競技場」については、14年度末までに設計に着手するよう、国へ働き掛ける。都でも競技場の建て替えに合わせた周辺のまちづくりのあり方や課題などを独自に検討。14年度末のまちづくり方針策定を目指す。
また、スポーツ祭東京の会場となる▽東京体育館(渋谷区)▽東京武道館(足立区)▽東京辰巳国際水泳場(江東区)▽駒沢オリンピック公園総合運動場(世田谷区)▽武蔵野の森総合スポーツ施設(調布市)―については、それぞれに設計・工事などを進め、東京体育館と東京武道館を12年度、駒沢オリンピック公園の一部と辰巳国際水泳場を13年度に完成。武蔵野の森についても16年度の完成を目指し、14年度に工事着手する予定だ。

【緑化・公園整備に1224億投入 都市開発諸制度の新評価基準を検討へ】
都内の緑化や公園の整備には、3年間の事業費を1224億円と見積もった。
公園の整備では、避難場所となる公園・緑地や河川・道路と連携した公園に重点を置いて、14年度末までに都立公園51fと、区市町村立公園90fを新たに開園。海上公園も22fを整備する。
都有施設や都営住宅の建て替えに合わせて施設を緑化し、27fの緑を創出。民間の商業施設の建設に当たっても事業者に呼び掛けるなどして、15fの緑を生み出す目標も掲げた。
民間施設の緑化を促進するため、都市開発諸制度を用いた容積率の割増措置で、温室効果ガスの削減量や空地の質を評価し、容積率の値を変動させる新たな評価基準なども検討。質の高い緑化空間の形成につなげる。
災害時の倒木による道路の封鎖を防止するため、特定緊急輸送道路にある幹周り90a以上の街路樹の状態を診断し、樹木の回復・更新を図る「大径木再生大作戦」も新たに盛り込んだ。


スポーツ施設・緑化関連施策年次計画

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