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「建設業の姿」と「国の役割」

 東日本大震災からの迅速な復旧・復興や、疲弊する地域の再生など、建設産業と社会資本整備が担うべき役割は高まっている。そんな中でことし4月、国土交通省で建設産業行政の具体化を担う土地・建設産業局建設業課に青木由行課長、直轄事業の入札契約制度などを企画立案する大臣官房技術調査課に越智繁雄課長が着任した。両課長は建設専門紙の共同インタビューに応じ、それぞれの立場から建設産業や社会資本整備に対する思い、今後の施策の方向性などを語った。

 

 

青木由行

「地域と人を大切にする
建設業が持続できる仕組みを」


―建設産業の課題をどう認識し、どのように改善していきますか。
「建設業を取り巻く環境は年々厳しさを増している。東日本大震災では、技術者・技能者の不足など積年の課題が顕在化した。若い入職者も極端に少なく、地方では除雪など地域を維持する機能が担えなくなりつつある」
「こうした中にあっては、先人たちの努力を踏まえつつ制度の果断な見直しが必要だ。建設産業戦略会議がまとめた『建設産業の再生と発展のための方策2011』(方策2011)のDNAはしっかり引き継ぎながら、タブーを恐れずにチャレンジしたい」
「方策2011で提起された施策の中には、業種区分の見直しなど残された課題がある。社会保険未加入対策も本格化はこれからだ。これらの施策は、信頼を裏切らないよう着実に実行する。加えて、建設産業の足腰を強くするため、中長期的な対策を検討していく」

―社会保険未加入問題には、どのように取り組んでいきますか。
「社会保険未加入対策は、法令順守(コンプライアンス)の観点に加え、建設業の足腰を強くしていくためにも重要な取り組みだ。真面目に対応した企業が馬鹿を見ないよう、理想を掲げて推進していく」
「一方で、われわれはともすれば制度を設計することに重きを置きがちだが、本来はそれをうまく動かすことがより重要なはず。そのためには、現場の思いをくみ取ることが不可欠だ。国だけが旗をふって動くものではない。関係者が一体となって対策を推進していくことが求められる」

―東日本大震災からの復旧・復興も重要な課題です。
「復旧・復興で最も重要なのはスピード感だ。現場では経験したことがない問題が次々に出てくる。本格復興はまだこれからだが、まちづくりの方針が固まり、大量の工事が発注された時、現場が停滞しないよう思い切った手を準備しておく」

―地方自治体には何が求められますか。
「建設産業が地域に果たしている役割をしっかり認識してほしい。地域に根差した建設業は長年にわたり雇用、経済を支えてきた。災害時などいざという時にも役立つ。地域の将来像を考える上で、建設業の持つパワーを活用すべきだ。こうした考え方を踏まえつつ、地域を維持する上で必要な建設業の姿を明確化することが必要だ」

―建設産業の再生・発展には何が必要なのでしょうか。
「方策2011で打ち出した地域維持という考え方が重要な出発点となる。災害対応や除雪、インフラの維持管理など、地域を守るという観点から、建設産業の体質を筋肉質にしていくべき。07年に建設産業政策研究会がまとめた『建設産業政策2007』では、再編・淘汰は不可避との考え方が示されたが、やみくもに対応を迫るのではなく、地域のニーズをとらえ人を大切にする建設業が持続できる仕組みを構築する必要がある」




越智繁雄

「建設業と国民の接点拡大へ、
求められる社会資本整備教育」


―入札契約制度の見直しには、どのように取り組んでいきますか。
「入札契約適正化法の制定作業にかかわった経験があるため、入札契約制度には思い入れが強い。直轄では一般競争入札・総合評価方式が定着したが、受発注者ともに手間やコストが増えていることも分かってきた。こうした点を改善するため、総合評価方式を施工能力評価型と技術提案評価型に二極化させることを決めた。準備が整った地方整備局などから試行を始める方針だ」
「試行結果を踏まえ次の改善につなげていく努力も欠かすことはできない。何事にも絶対はないという考え方に基づき、連続性を持った仕事で改善を繰り返しながら、より良い制度を構築していくつもりだ」

―建設技術の開発も重要な課題の一つです。
「今夏に予定する社会資本整備重点計画の見直しに合わせて、現行の技術基本計画を改定する。建設技術は、単に研究開発すればいいのではなく、現場で使われることが大切。単体の技術に加え、これらを結ぶ情報通信などシステム技術の重要性も高い。例えば、広域災害での防災情報は、観測・収集から住民への伝達までに、どこかで断絶すると機能しない。公共工事の新技術活用システム(NETIS)をうまく活用するとともに、現場で技術をどう評価すべきか考えていく」

―東日本大震災の被災地では、早期復興が求められています。
「今回の大震災は超広域にわたり被害をもたらした。いかに早く元気な姿を取り戻すかを重視し、インフラ整備を迅速・効率的に進めていくことがわれわれの責務だ。既に発注標準の見直しや現場への権限拡大などに取り組み、復興道路の整備には事業促進PPPを導入した。今後も、仕組み・体制・運用を一体的に改善して復興に取り組む」
「発災直後には食糧不足や燃料不足などの問題が生じた。いまの日本は極度に効率化され、いざという時の余裕、リダンダンシー(代替性)が失われている。無駄はいけないが、安全・安心のための余裕は必要だ。大震災の教訓を踏まえ、今後の社会資本整備には国土の二軸化といった観点も重要となるだろう」

―このほかに社会資本整備で重要なことはありますか。  「インフラといっても、ハードだけでなく、ソフト分野もある。防災教育もその一つで、長い時間をかけて育んでいくべき重要なインフラだ。社会資本がいかに社会生活や経済活動に結び付いているかを知ってもらう社会資本整備教育≠展開し、建設業と国民の接点を広げていかなければならない」
「公共投資の縮小によって、全体のパイは減っているものの、直轄事業のシェアは増えている。国交省が公共工事や建設産業をけん引する役割の重要性は高まっているとみることもできる。このような認識を踏まえながら、建設産業の健全な発展と幸せが多い国づくりを進めていきたい」

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