6月1日から7日までは第54回水道週間。大阪広域水道企業団は発足から2年、将来計画の実現へはこれからが本番となる。同企業団が取り組む事業の主要現場を紹介する。
「信頼される事業者を目指す」 吉田八左右 大阪広域水道企業団副企業長
今年の水道週間のスローガンは、「さあ今日も水と元気が蛇口から」です。水道は人が元気に生活する上で欠かすことのできない重要なインフラです。昨年の東日本大震災やタイの洪水は水道事業の大切さを再認識させられました。
近年の水道事業の状況は、水需要の減少、水道施設の更新時期の到来、団塊世代職員の退職など厳しい経営環境に置かれています。
その中で、府域の水道事業が将来にわたって安全・安心な水を安定的に供給し続けられるよう、大阪広域水道企業団を設立し、2011年4月から事業を開始して本年度で2年目を迎えました。
事業開始初年度は、設立目的を達成していくために、企業団の今後約20年間の目指すべき方向性を示す将来構想と、3年間の実行計画であるアクションプランを策定したところです。
施設の更新・耐震化については、昨年の東日本大震災を踏まえ、これまでの計画に比べて浄水池や水管橋の耐震化を前倒しするとともに、非常用自家発電設備の追加整備などを行うこととしています。
また、府域水道事業の広域化を推進するため、大阪市との統合協議や構成市町村との事務の共同処理・施設の共同化などに取り組んでいます。
蛇口をひねれば当然のように水が出る、また災害時にも生活に必要な水を供給できるなど、皆さまに信頼される事業者を目指すとともに、大規模災害時の支援や国際貢献など大規模事業者としての使命を果たしてまいりたいと思います。
【大阪広域水道企業団の現場を見る@】
上小阪坑穴築造工事(上小阪枚岡系統連絡管・東大阪市)
〈施工−中林建設〉
「安全管理徹底し完成めざす」
4月末までの進捗率は約50%。立て坑部分はすでに床付け掘削が完了し、ならしコンクリートの打設に着手した。今後は、シールドマシンの到達を待って、 2013年3月ごろから弁室の構築に取り掛かる。また、口径800oの既設管との接続部分は夜間道路規制を行いながら7月ごろから切り替え作業を開始する予定だ。
また、出入り口は交通量の多い府道24号線に面しており、特に朝は近隣の布施工科高校、近畿大学付属高校の学生の通行が切れ目なく続くため、午前8時から8時30分までの間は工事車両の運行を禁止して、安全管理、第3者災害防止に努めている。
今後は同敷地内で、別途発注の送水管工事、鋼管製作と継ぎ手工事、鋳鉄管製作と継ぎ手工事などが行われるが、越智康司現場代理人は、「他社との工程調整、施工ヤードの調整を綿密にし、来年11月の工期に間に合うよう無事故・無災害で現場を進めていきたい」と話す。
<概要>
▽発注者―大阪広域水道企業団事業管理部東部水道事業所
▽場所―東大阪市宝持3
▽工事概要―立て坑築造工事1カ所(深さ10.7m、約19m×約13m)、弁室築造工1カ所(高さ約10m、約15m×約13m)、弁室内配管工一式、配管工一式、付帯工一式
▽工期―2011年11月29日〜13年11月29日
【大阪広域水道企業団の現場を見るA】
送水管布設工事(上小阪枚岡系統連絡管・東大阪市)
1工区 〈施工−清水建設〉
「耐力性の高いTNへ」
巨摩立坑から上小阪立坑までの西行き延長816.4mを秋までに完了させ、その後、巨摩立坑から玉串立坑までの東行き延長1613.2mに着手する。
管布設は口径1,930oの汚水式シールド工法で、現在進めている一次覆工では鋼製セグメント外径1,800oの最小径のシールド機を採用。そのため、挟まれ災害の防止や機械の配置に注意が必要となる。また、工事区域ではメタンガスが発生するため、防爆仕様のシールド機を採用して慎重に作業を進める。
兼松正美現場代理人は、「漏水の少ない耐力性の高いトンネルに仕上げたい」と話す。
<概要>
▽発注者−大阪広域水道企業団東部水道事業所
▽場所−東大阪市宝持3〜玉串町西2
▽工事概要−口径1,930o汚水式シールド工法(防爆仕様)、一次覆工一式(鋼製セグメント外径1,800o、幅750・450o、桁高75o)、二次覆工一式(口径1,000o鋳鉄管配管工、エアモルタル充填工)、弁室築造工一式(巨摩立坑、玉串立坑)、ドレン配管一式(延長90m、口径400o)、付帯工一式
▽工期−2011年3月3日〜15年3月16日
【大阪広域水道企業団の現場を見るB】
送水管布設工事(上小阪枚岡系統連絡管・東大阪市)
2工区 〈施工−戸田建設〉
「一時覆工がほぼ完了」
メタンガスが発生しやすい地質のため、シールドマシンなどの設備全般を防爆型仕様とし、送風機により秒速1mの坑内風速を確保している。篠原賢至所長は「府の環境基準よりも高い設定。安全面には十分気を付けている」と話す。
今後、二次覆工が本格化するが、泥水式のシールド工法では最小径という狭い空間での作業となるため、危険箇所などは作業員に周知を徹底して行い、無事故・無災害での完成を目指す。
<概要>
▽発注者−大阪広域水道企業団事業管理部東部水道事業所
▽場所−東大阪市玉串町西2〜若草町
▽工事概要−工事延長1,671.3m、一次覆工・泥水式シールド工法(掘削機外径1,940o)、最小曲率半径R=20など、二次覆工・トンネル内配管、鋳鉄管口径1,000o、延長1,641mなど、地盤改良工、弁室築造工、付帯工一式
▽工期−2010年5月25日〜13年2月28日