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国土交通省・13年度概算要求のポイント

 国土交通省が7日に発表した2013年度予算の概算要求は、東日本大震災からの復興とともに、災害に強い国づくりに向けて全国の防災・減災対策を推進することに力点を置いた。民間の知恵と資金を活用しながら、持続可能で活力ある国土・地域を形成し、デフレ脱却や経済活性化につなげていく姿勢も明確にした。こうした方針は各局の要求内容にどのように反映されているのか。局別に概算要求のポイントを解説する。

【総合政策局】
 要求額は前年度比5・4%増の409億3700万円。PPP/PFI事業の具体的な案件形成や、PFI実施の可否を検討する制度の導入など、官民連携による持続可能で活力ある国土・地域づくりの推進に11億9400万円、海外プロジェクト獲得に向けた先導モデルプロジェクトの認定などに13億6000万円、地域公共交通のバリアフリー化などに340億5800万円を計上した。
官民連携の推進に当たっては、▽PPP/PFI事業の運用上の課題調査▽先導的な案件形成の支援▽PFI実施の可否を検討する制度の導入に向けた支援―などに取り組み、民間の知恵・資金の積極的な活用を目指す。また、東日本大震災の復興を見据え、PPP/PFIを活用した復興事業を実施する被災自治体を支援する。
海外プロジェクトの推進に向けては、官民一体となったトップセールスや案件形成、日本の優れた技術・システムの国際標準化に取り組む。また、最先端の技術・システムをショーケース化して海外に発信するため、先導的なモデルプロジェクトの認定や、その技術の具体的な適用に向けた調査を実施する。
地域公共交通を維持・改善する観点からは、バス、タクシー、旅客船、旅客ターミナルのバリアフリー化や、地域鉄道の安全性向上に役立つ設備整備を支援していく。 

【国土政策局】
 2008年度の閣議決定から5年が経過する「国土形成計画」の総点検に新規で9500万円を要求した。広域的な国土・地域づくりを進める「広域的地域間共助推進事業」も新たに立ち上げ、社会資本整備総合交付金を活用して必要な施設整備費を支援する。
国土形成計画は、国土資源・海域・防災・都市・農山漁村・産業など、幅広い分野を計画事項として定めている。閣議決定した2008年度から5年が経過し、東日本大震災をはじめとする社会経済状況に大きな変化があったことから、総点検を実施して国土政策上の課題を分析する。
広域的地域間共助推進事業には16億円を新規で要求。自治体やNPO法人などで構成する協議会が基本計画を策定することを支援するとともに、計画に基づく施設整備事業を社会資本整備総合交付金の交付対象に追加。地域間の共助のための施設(非常用電源、貯水槽、備蓄倉庫、蓄電池など)の整備費を補助する。
同局関連予算のうち、公共事業関係費の要求額は、前年度2・2比%減の743億7700万円。特定地域振興関係予算の公共事業費は5%増の587億4500万円。

【土地・建設産業局】
 要求額は、前年度比10・9%増の214億4900万円。「建設産業の再生と発展のための方策2012」の実現に向けた建設市場の環境整備に56%増の7億6100万円、不動産市場の活性化や不動産情報の整備に16%増の54億4400万円を計上した。また、地籍整備の推進には8%増の149億8400万円を盛り込んだ。
建設市場の環境整備に向けては、建設産業の担い手確保を推進するため、技能労働者の資格や経験、社会保険加入状況などの情報を蓄積し「見える化」する仕組みを検討する。また、専門工事業者に対する新たな評価手法の調査に着手。建設業の新事業展開などを支援する「建設企業のための経営戦略アドバイザリー事業」の拡充も視野に入れている。
不動産市場の活性化に当たっては、中古不動産流通市場整備・活性化で先進的な不動産流通ビジネスモデルを育成・支援するほか、不動産証券化を活用した地域の活性化や低・未利用地の活用促進に向けた環境整備に新たに取り組む。
地籍整備をめぐっては、東日本大震災の被災地や今後津波による被害が想定される地域での調査を重点化する方針に基づき、地籍調査負担金として27億8300万円を計上。また、市町村などの地籍調査に先立ち官民境界の調査を国が実施する「都市部官民境界基本調査」に13億2200万円、地籍調査の実施が困難となる恐れがある山間部の境界情報調査を国が実施する「山村境界基本調査」に2億5000万円を充てる。
被災地での現場配置技術者の実態調査や土地取引実態調査にも取り組む方針だ。

【都市局】
 要求額は前年度比7・8%増の486億4600万円。国営公園関連が8・9%減の276億円余となる一方で、市街地整備に43・4%の大幅増となる169億円余を計上した。「復興と防災・減災対策」「低炭素・循環型都市の構築」「国際競争力強化に向けた都市基盤整備」などを重点化し、これらに関わる事業について、予算の新規計上や拡充を目指す。
低炭素・循環型都市の構築では、集約都市開発や公園・緑地、フリンジ駐車場(都心外縁部に設置するアクセス用駐車場)の整備など、低炭素まちづくり法に基づく「低炭素まちづくり計画」(市町村作成)に位置付けられた取り組みの支援を強化する。
具体的には、集約都市開発事業で、省エネルギー性能などに優れた建築物の整備や医療施設などの一体的な整備への支援策を追加。このほか、フリンジ駐車場などの整備に伴う支援の限度額を見直すとともに、支援対象となる都市公園事業の面積要件も拡充する。
国際競争力の強化に向けた都市基盤整備では、国際物流拠点となる地域を対象に、物流拠点などの整備や再整備などを促す新たな支援メニューを創設する。国際コンテナに対応するとともに、大規模災害時に防災機能を発揮できるようにする。 
このほか新規事業では、国営公園にLED照明を導入。コンパクトシティ形成支援事業や減災・防災まちづくり推進方策検討調査にも着手する。

【水管理・国土保全局】
 政府の「日本再生戦略」を踏まえ、基本方針として▽東日本大震災からの復興▽防災・減災対策等の推進▽持続可能で活力ある国土・地域の形成―などを掲げた。特に災害に強い国づくりに向けたハード・ソフト両面から、防災・減災対策を強力に推進する。
公共事業関係の要求額(事業費ベース)は前年度比5・5%増の8979億7000万円。主な事業費の内訳は治山治水が6・8%増の7936億4700万円、住宅都市環境整備事業が8・5%減の301億8500万円、下水道が6・7%減の71億4900万円、災害復旧が0・6%減の669億8800万円。
特に予防的な治水対策には国費1814億円を投入し、災害危険度の高い地域で、効果的な災害予防対策を重点的に実施する。維持管理には国費1358億円を充て、既存ストックの長寿命化対策などを戦略的に推進する。
検証を進めているダム事業については、今後の個別ダムの検証結果を基に対応方針を決め、八ツ場ダムについては「八ツ場ダム建設事業に関する対応方針」(2011年12月)に沿って適切に対応する。
また、東日本大震災からは今後の国土保全の在り方を考える上で参考となる多くの教訓を得たことから、これらの知見や経験を踏まえ、▽海岸の耐震対策・水門などの自動化や遠隔操作化▽津波・高潮・耐震対策▽下水道総合地震対策事業の拡充―などについて、社会資本整備総合交付金の拡充についても要求する。

【道路局】
 道路関係の要求額(都市局分を含む)は前年度比6%増の1兆4008億円。重点要求・特別重点要求枠として、物流ネットワークの整備に402億円、全国ミッシングリンクの整備に1475億円、LED道路照明灯の整備に65億円をそれぞれ要求した。
国際競争力を強化するため、国際海上コンテナ車両などが通行する大都市圏環状道路などのネットワーク整備と通行支障区間の解消、高速道路と拠点空港・港湾・鉄道駅を結ぶアクセス道路の整備を推進する。
東日本大震災からの復旧・復興対策では、三陸沿岸道路などの復興道路・復興支援道路の早期整備、道路の防災対策などの予算を要求。津波で壊滅的な被害を受けた地域などで復興計画に位置付けられた市街地整備に伴う道路整備や、高速道路インターチェンジ(IC)へのアクセス道路などの整備を進める。復興道路・復興支援道路の整備では、事業を早期に円滑に進めるため、民間の技術力を活用した事業促進P・P・Pを導入する。
防災・震災対策としては斜面や盛土の対策、耐震補強などを継続するとともに、道路冠水による事故の未然防止のため、排水ポンプや道路情報板を整備。道路の海抜表示、通行止め情報の集約・共有などを進める。道路を適切に維持管理していくため、国と地方公共団体が管理する道路の実態を把握し、維持管理・更新費用の将来推計を行う。
また、2013年度を初年度とする新たな積雪寒冷特別地域道路交通確保5カ年計画を策定するとともに、機動的な除雪支援ができるよう、新たな補助事業を要求する。

【住宅局】
 要求額は前年度比3・7%増の1950億円。重点施策として、「住宅・建築物の耐震対策」「低炭素・循環システム構築に向けた環境対策」「持続可能な住宅ストック・マネジメント」「安心で魅力ある住宅市場の環境整備」などを掲げた。
住宅・建築物の耐震化では、住宅の耐震化率(2008年で約79%)と特定建築物の耐震化率(同約80%)を15年までにそれぞれ90%、住宅はさらに20年までに95%とする目標を達成するため、耐震化の緊急対策を進める。
特定建築物については、耐震診断・改修を促す対策を強化するとともに、通常の助成制度に加え、国が重点的・緊急的に支援する仕組みを創設。住宅についても耐震改修などの支援を拡充する。
中古住宅・リフォーム市場の拡大に当たっては、消費者ニーズを踏まえた情報提供や関係事業者による連携・体制整備などの取り組みを支援。消費者にとって安心で魅力的なサービス提供を促す。中古住宅流通・リフォーム市場については、20年までに市場規模を20兆円まで倍増させる。
住宅・建築物の環境対策では、中小工務店が手掛けるゼロ・エネルギー住宅の取り組みへの重点的な支援を実施。防災性能や省エネルギー性能の高い住宅・建築物、省CO2技術を導入する住宅・建築物に関する先導的なプロジェクトへの支援なども行っていく。

【鉄道局】
 東京都心と羽田空港〜成田空港間を結ぶ「都心直結線」の新線調査に2億5000万円、整備新幹線の整備に706億円、鉄道施設の耐震対策の強化に70億1500万円などを要求している。
要求額は前年度比5・4%増の1078億6800万円。このうち、公共事業関係費は2・6%増の961億0800万円を要求している。事業費ベースでは9・6%減の3398億2900万円となる。
都心直結線は、押上駅付近〜新東京駅〜泉岳寺駅付近を結ぶ全長11`の新線。既存線と直結することで、羽田空港〜成田空港間のアクセス向上を図るのが狙い。新線調査では、PFIの導入を含めて事業化を検討する。 整備新幹線については、工事実施計画を認可した▽北海道新幹線(新函館〜札幌)▽北陸新幹線(白山総合車両基地〜敦賀)▽九州新幹線(武雄温泉〜長崎間)―の設計・施工法調査などに着手する。中央新幹線についても、技術基準見直しに必要な調査を実施する。
鉄道施設の耐震対策の強化は、防災・減災対策の強化が課題となっている首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生に備え、主要駅や高架橋などの耐震対策を進める。高架下利用のある駅などの耐震補強を促進する方策も検討する。

【港湾局】
 基本方針に「成長力強化による日本再生」と「安全・安心の確保」の二つのテーマを掲げ、▽港湾整備▽港湾海岸▽、災害復旧―の3事業を合わせた公共事業費として前年度比10・8%増の2884億円(事業費ベース)を要求した。
内訳は港湾整備事業が10・5%増の2733億円。港湾海岸事業費が17・2%増の137億円。災害復旧事業費は5%増の15億円。
「成長力強化による日本再生」に向け、国際コンテナ戦略港湾(阪神港・京浜港)の機能強化に24%増の事業費7228億円を投入する。また、海洋資源開発を支える活動拠点を南鳥島と沖ノ鳥島に整備するため、10%増の118億円を投じる。
東日本大震災からの早期復旧には事業費533億円、復興には265億円を充てる。被災地域の産業・経済の空洞化を防ぎ、地域の復興を実現させることを目標に、物流にとって特に重要な港湾施設については震災後おおむね2年以内、湾口防波堤や海岸保全施設については、震災後おおむね5年以内での復旧をめざす。
さらに、切迫する東海・東南海・南海地震、首都直下地震など巨大地震の発生に備え、港湾施設の耐震、耐津波性能を向上に事業費248億円を充てる一方、産業と人口が集積する港湾海岸の「安全・安心の確保」に事業費160億円を投じて、高潮対策や浸食対策を推進する。

【航空局】
 空港整備事業の要求額は前年度比1%増の1409億円。羽田空港関係には1096億円を計上し、国際線地区の拡充やC滑走路延伸事業(延長360b)を進めるほか、エプロンの新設、航空保安施設の更新・改良、空港アクセス道路改良などを実施する。国際線地区の拡充では、国際線発着9万回への増枠に必要となるエプロンの増設・改良、CIQ施設の増設、空港アクセス道路改良などを行う。また、C滑走路については、早期に整備可能な延長2000bの耐震化を図る。
成田空港関係は56億円を計上し、成田空港庁舎耐震対策、LCC専用ターミナルの整備を行う。会社事業(自己資金)ではLCC専用ターミナルビル整備や横堀地区エプロン整備を予定。
関西国際空港・大阪国際空港には78億円を計上し航空保安施設の更新や関西国際空港庁舎耐震対策などを予定。中部国際空港では、羽田空港から移転する飛行検査拠点の工事費や航空保安施設の更新日などに14億円を要求した。
一般空港関係は184億円を要求。予防保全的な維持管理による既存空港の更新・改良を行うほか、新規に那覇空港の滑走路増設事業に着手する。増設滑走路は延長2700b、幅60bで全体事業費1900億円。
空港等機能高質化事業は52億円を要求。福岡空港で国内線ターミナル地域のエプロン誘導路二重化、那覇空港国際線ターミナル地域で国際線旅客ターミナルビル移転・拡張に関連しCIQ施設とエプロンなどを整備する。

【官庁営繕部】
 官庁営繕費は、前年度比19・3%増の200億8700万円を要求した。新規事業として、官庁施設へのLED照明導入に13億5000万円、中央省庁本庁舎の自家発電設備増設に24億円を求めた。2012年度予算への計上が認められなかった合同庁舎の建替経費については、予算要求自体を見送った。
官庁施設のLED照明導入は、政府の日本再生戦略に基づく「特別重点要求」として予算確保を目指す。照明設備が老朽化した官庁施設にLED照明を導入するとともに、人感センサーや照度センサーによる照明制御を行い、年間の消費エネルギーを半減させる。
日本再生戦略関連では、中央省庁の自家発電設備の機能強化を「重点要求」として要求。首都直下型地震発生時の中央省庁の業務継続を目的に、電力確保に必要な自家発電設備の燃料槽増設を計画する。
一方、防災拠点となる官庁施設の安全性確保には131億4800万円を要求し、施設の耐震性確保や津波対策を進める。12年度予算に要求したものの、予算計上が認められなかった帯広第2地方合同庁舎(北海道帯広市)など、新規の要求は見送られた。
ただ、高松地方合同庁舎(香川県高松市)の2期工事については、南海トラフ巨大地震の被害想定見直しに伴って計画内容を変更することから「事項要求」とし、計画が固まりしだい予算額を盛り込むとしている。

 

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