三河地区5支部長座談会|建通新聞社

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命・財産を守る取り組みが最優先

 南海トラフ巨大地震が懸念される中、命・財産を守る空間のひとつが「住宅」。木造住宅の耐震化が叫ばれて久しいが、現状はどうか。愛知県建築士事務所協会三河地区の5支部長に、耐震化の現状や課題、また会員増強など支部が抱える課題や展望を聞いた。

愛知県建築士事務所協会三河地区の5支部長

 

司会 支部会員の受注状況はどうか。政権交代後、変化はあるか。

渡邉 受注状況に大きな変化はまだみられないが、多くの会員が昨年より忙しくしているようだ。市が点検業務などをまとめて発注したことから、仕事が集中している。景気が上向いてきたと感じられる。

 

渡邉勇

 

杉浦 構造設計の業務量が増加しているようで、緩やかな上昇傾向にあることが感じられる。

野村 構造設計の立場からみると変化は大きい。金利の先行きや増税前の駆け込み需要で仕事量が急激に増えた。一方、労働者不足による労務単価の高騰が気がかりだ。

 

野村国雄

 

鈴木(茂) 景気は緩やかに上向いている。政権交代後、土木関連工事が増加しているほか、オリンピック開催地が日本に決まり、建設業界全体が明るい展望を期待している。

鈴木(賢) 増税前の駆け込み需要か、景気好転への期待感なのか住宅関連は確かに忙しくなっている。

司会 木造住宅の耐震化の状況と課題、今後の展開をどう見るか。

渡邉 岡崎市でも無料耐震診断を実施しているが、改修工事に至るケースは少ない。診断を受けた市民にダイレクトメールを送るが、改修費用がネックとなって断念、あるいは迷っているのが現状ではないか。

杉浦 西三河支部では9月15日、「リスクで考えるわが家の耐震リフォーム」と題した講演会と、耐震改修相談会を開催した。このようなイベントで関心を深めてもらい、次のステップへの後押しとなればと考える。

野村 無料耐震診断の対象を昭和56年以前に旧基準で建てられた木造住宅としているが、昭和56年以降の新基準の住宅でも、リフォームで間取りを変更したことで強度不足となり得る。ケースによっては対象外でも危険性があるという認識が必要だ。

鈴木(茂) 西尾市が公表した耐震化率によると、全住宅数52400戸のうち約7割が耐震性を満たしている。一見して耐震化率が高いようだが、これは鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物を含めた数字。木造住宅に限定した耐震化率を確認する必要がある。 また、最近の傾向として、耐震改修以外の補助金を活用して、大きな住宅から家族構成に見合う規模にダウンサイジングして建て替えるケースが少なくない。

野村 愛知県によると、耐震改修だけではなく建て替えで、耐震化率を押し上げているようだ。


 

 

鈴木(賢) 豊田市では年間350件から400件の無料耐震診断を行っているが、耐震改修に至るのは50件程度。耐震化を促進するため戸別訪問を予定している。

渡邉 三河地区では沿岸部を中心に液状化が懸念されているが、液状化対策まで施すのは困難だ。命を守るための耐震化が最優先だ。

司会 会員増強など課題や今後の支部運営について。

渡邉 入会金や年会費が入会に二の足を踏む理由になっているのではないか。会員増強は大きな課題だが、景気が良くなり業界が元気にならなければ難しいだろう。

杉浦 会費など費用の面が大きいだろう。費用に見合う付加価値を創出することが重要だ。

 

杉浦勝裕

 

野村 事務所の規模に関係なく決められている一律の入会金、年会費を一考する余地があるのではないか。また会の認知度が低いことも影響しているだろう。

鈴木(茂) 市民の認知度が低いことも入会をためらう要因ではないか。西尾支部では無料耐震相談会案内のダイレクトメールに、西尾市が後援していることを明記し、信頼できる団体であることをPRしている。

 

鈴木茂

 

鈴木(賢) 支部会員数は横ばいで推移しているが、会員の高齢化が進んでいるために、若手の育成が急務だ。また、公益法人化した効果がいまひとつでていない。大々的なPRが必要だと考える。

司会 設計業界の課題は。

渡邉 建築士会や建築士事務所協会など類似団体が多くて紛らわしい。市町村が合同で実施する地震対策などのプロジェクトに参画し、事務所協会を認知させていくべきだ。

杉浦 団体が多過ぎるということと、ユーザーが安心して設計を依頼できる仕組みづくりが必要だ。

鈴木(茂) 住宅メーカーは、展示場で開催するイベントで集客し、受注につなげている。一方、設計事務所の存在は一般にあまり知られていない。受注に結びつけるために努力しなければならないが、一事務所では限界があり難しい。

野村 さらに付け加えるならば、住宅を建てる際、設計事務所に依頼すれば設計費が必要となるが、ハウスメーカーなら設計費は不要だと思われている。工事費に含まれていることの認識がない。このようなこともわれわれが一般に認知してもらう努力が必要だ。

鈴木(賢) 本部でもパンフレットを作成するなど会員増強に努めているが、一般に建築士事務所協会をPRするのは難しい。地道な努力が大切だ。

 

鈴木賢三

 

司会 その他に課題があるか。

野村 意匠設計にも言えるが、特に構造設計で後継者が不足している。

渡邉 若者が設計事務所に入社し、意匠設計か構造設計かを選ぶ際、ほとんどが意匠設計を選択する。構造設計のわかりやすい講習会などがあれば興味を抱く若者が増えるのではないだろうか。

野村 建築士事務所協会に長年所属している会員が、仲間ができて良かったと話していた記憶がある。構造設計に携わる建築士は少なく、孤独を感じている。仲間ができれば仕事も楽しく、技術力の向上や人間的にも成長できるだろう。多くの若手建築士が入会され、活動してほしい。

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