浜松市は、2015年度から市内12322基の道路照明灯のLED化事業を進めている。消費電力の削減によるトータルコストの縮減や二酸化炭素排出量の削減などを目的に、5カ年で全ての道路照明灯をLED化する計画だ。3年目となる17年度も引き続き、劣化した支柱や灯具の取り換えを継続していく方針でいる。
事業を担当する浜松市土木部の横山幸泰部長に、事業の概要や進め方、関連する企業への要望などを聞いた。
―道路照明灯のLED化事業について、事業概要と目的などをお聞かせください。
経年劣化の点検結果を基に、市内の更新対象となる道路照明灯12322基について、19年度までの5カ年で全てをLED化する計画です。消費電力量の削減によるトータルコストの縮減や二酸化炭素排出量の削減と環境負荷の低減などを目的にしています。
LED化により大幅なコスト縮減を図ることができます。試算では、LEDに更新しない場合との15年間の比較において1年間当たり約4800万円縮減できると見込んでいます。また、交通安全上の観点では路面の視認性が向上し、横断歩行者の早期発見など事故防止にも効果があると考えています。
―3年目を迎えますが、具体的にどのように事業を進めていますか。
緊急輸送路と市街地防災計画内の避難道路、国道、県道を合わせた総延長373.4キロを対象に、消費電力の大きい水銀灯からLED化を進めています。大半は灯具の更新ですが、劣化した支柱の取り換えが必要な場合もあります。事前に実施した点検結果を判定T〜Vに分類し、「至急取り換えを前提とした大掛かりな修繕が必要」な判定Vの424基については、支柱と灯具を更新していきます。
―15・16年度の事業内容と17年度の計画を教えてください。
当初は、中心市街地の人通りの多い路線を優先的に実施する計画でしたが、デザイン照明灯の取り扱いという課題が出てきました。地域の特色や景観を考慮したデザイン照明灯は、規格が多種多様で景観を損なわない配慮が必要です。そのため、施工性や経済性など汎用(はんよう)性が高い灯具の採用が必要と判断し、16年度に方針を取りまとめました。今後事業の進捗に向け地元などと協議を進めていきます。このような実情から、15・16年度は主要幹線道路で先行実施し、2カ年で1598基の更新を完了しました。内訳は、支柱も含めた更新が49基、灯具の更新が1549基となっています。事業の進捗率は約13%で、工事の契約件数は南土木整備事務所管内が7件、東・浜北土木整備事務所管内が6件です。17年度は、南土木整備事務所管内を中心に工事を計画しており、現在実施路線の選定を進めています。
LED化した路線の沿線住民は大きな変化を感じていないようですが、他事業で自治会が管理する防犯灯のLED化も進めているため、自治会長から道路照明灯のLED化や交換時期の問い合わせを受けることがあり、LED化への関心は高まっていると感じています。
―事業に係る企業に対し要望などはありますか。
施工時に、支柱の根元部分や内部など想定以上の劣化が確認された場合、16年度は市との協議による対応をお願いしてきました。17年度もこのようなケースでは、引き続き同様の対応をお願いします。この他、照明灯台帳の整備や照明灯に取り付ける管理用プレートの更新についても、工事ごとに作業が必要となるため、施工に関わる企業の皆さんのご協力に感謝しています。
製品関係では、道路表示板などの交通安全施設にLEDを活用した製品を導入しています。16年度は天竜区内の9カ所に設置しました。17年度も同区内の2カ所で設置を予定しています。今後もより品質と性能に優れた製品の開発や提案をお願いしたいと思います。