【香川県】坂出市、10年先のまちづくり実現を目指す｜建設ニュース　入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

　坂出市は2019年3月、都市計画の基本的方針となる新「坂出市都市計画マスタープラン」、まちづくり指針となる「立地適正化計画」を、同年8月には坂出港の競争力向上などを目指す「坂出ニューポートプラン」をそれぞれ策定した。17年5月の市長選後、3期3年目を迎え、10年先の市のまちづくりの実現を目指す綾宏市長は、「これらのプランがソフト面を含め、重点的に取り組むインフラ整備などとも密接に関連し合う」と話す。主な施策について、綾市長に聞いた。

―主なインフラ整備の現況について
坂出北インターチェンジのフルインター化に向け、19年度から用地買収に着手できる見通しだ。県による高松坂出線の4車線化が決まり、19年度から五色台トンネルや橋梁など設計・調査を進める他、官民境界工事に着手する。20年4月に完成を予定している新庁舎の建設は順調に進んでおり、14年10月に完成した新坂出市立病院でも好評な免震構造を採用する。学校関連では2019年5月、白峰中学校の教室天井裏の一部が落下したため補修工事を行い、他の棟も調査を進めている。学校給食調理場を集約した新共同調理場建設については、運営方法などを19年度内に決める。公共下水道事業関連では、旧市街地の狭あいな市道下への枝線敷設を年次計画で進めている他、雨水排水関連で将来的に江尻排水機場改修に取り組む必要がある。

―ソフト面で、継続して力を注がれる健幸のまちづくり、子育て支援について
就任以降、力を入れている健幸のまちづくりは、高齢者の健康寿命を延ばし、住み慣れた地域で健やかに幸せに感じて暮らすことが目的であり、関連の医療費などの削減にもつながる。市内各所に設置したラジオ体操広場に私も参加しており、各校区のウォーキングマップ作りや高齢者に歩き方、効果的な健康遊具の使い方の啓発を専門家の指導を受けるなどして、誰もが気軽に参加・利用できるよう取り組んでいく。
また、子育て支援として設置する認定こども園について、20年度以降、府中地区など4カ所に既存施設を改修し活用するかたちで整備する。

―空き家・店舗対策について
中心地における空き家対策、土地有効利用のため、「坂出市まちなか中高層共同住宅建設促進事業」によりマンション建設を誘導している。下水道整備なども促してスポンジ化を抑制し、「坂出市立地適正化計画」に挙げているコンパクトシティを目指している。駅前にホテルを誘致し、中心市街地の道路整備についても検討したい。旧市街地に高齢者が多く、一昨年には文教地区に高齢者施設が完成した。街中に賑わいと和みをもたらすことが目的だ。

―企業誘致について
条例を制定して22社の設備投資に助成し、3年後はさらに4社増える。有効求人倍率は県内トップを維持しており、今後も様々な視点から企業に対する支援などを検討していく。「坂出ニューポートプラン」は大手企業の立地を継続してもらうインセンティブ化もねらっている。さぬき浜街道から北の港湾地区で、倉庫業の業態が変わりつつある昨今、同プランを踏まえ関東方面との定期RORO船航路を誘致し、坂出港のさらなる物流機能強化を図りながら、背後圏企業の成長を支える競争力の強化を目指す。また、魅力ある港づくりを目標に、港に近接した中心市街地に賑わいゾーンの形成を進める。

―災害対策について
市職員にもかかわらず、土のうを作ったことがないでは困る。このため、19年度に防災・危機管理スペシャリストを養成する。対象職員は、防災・危機管理の専門家として講師を務めることができる年40時間の養成研修を受講し、来年度以降、防災・危機管理スペシャリストとして全職員を対象に約10時間の危機管理専門研修を開催する。市民には、内閣府が定めた災害発生時に示す警戒レベルを参考に、「自身で判断し避難する」という自己責任意識を持ってもらう必要がある。

―市内の建設業者への要望など
施工者の皆さんが稼働中の現場を抱える中で、自然災害が発生したとしても災害協定に基づき被災現場に駆け付けてもらえる信頼関係を築いていきたい。その際、どれだけの重機など機材を携え駆けつけてもらえるのか、日ごろの情報交換が大切だと考えている。

【綾宏市長プロフィル】
1987年5月坂出市議会議員初当選、連続6期（監査委員、第46代副議長、第48代・55代議長を歴任）2009年5月坂出市長初当選、同年6月第19代坂出市長就任、13年6月第20代坂出市長就任、17年5月から3期目、趣味は読書など。1953年4月7日生まれ、坂出市出身、66歳

※RORO船：貨物を積んだトラック・トレーラーをそのまま運ぶ船