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(2017/06/29)

大村秀章TOP

 

社会保険未加入対策や週休2日も促進

 

――愛知県は、公契約条例の制定や社会保険未加入業者の排除など、建設業界で働く人の処遇改善に積極的に取り組んできた。
「建設業は、企業の生産設備や住宅などの社会基盤、インフラを造る産業で、経済のベースをつくっている。愛知県が日本一の産業県を継続していくためには、それを支える建設業が元気でなければならない。そしてその現場で働く人たちが働きやすい環境、報われる仕組みを整えていくことも必要である。現場で働く人たちが幸せになれるよう処遇を改善していくこと、働く環境の改善・整備は、全国に先駆けて率先してやっていきたいと考えている」

――現場で働く人の処遇改善では、社会保険未加入対策の強化が重要だ。
「建設業者の社会保険などへの加入を促進するため、愛知県では、2010・11年度の入札参加資格審査申請時から、社会保険など未加入業者の申請を受け付けないことにした。これにより、建設部・農林水産部・企業庁が発注する建設工事の元請け業者について、未加入業者を契約の相手方から排除している。また、16年4月からさらなる対策として、3部庁が発注する全ての建設工事について、元請け業者に対し、社会保険などに未加入の業者との1次下請け契約を禁止した」
「2次以下の下請け業者の社会保険など未加入対策も、建設業全体の持続的な発展のために重要な取り組みであると考えている。愛知県では、未加入業者が発覚した場合には、社会保険を所管する愛知労働局や日本年金機構などに通報することにより加入促進に取り組んでいる」

――建設業界では、週休2日制がほとんど実施されていないことが課題となっている。
「建設部では15年度、土曜日・日曜日を休日とする『週休2日制モデル工事』を3件の現場で実施した。16年度は、PR効果を高めるとともに、一般的な工事における課題を把握するため、県内全域において『完全週休2日制工事』として、取り組みを拡大した。広くPRするため、地元の関心の高い工事や工期調整がしやすい工事を対象に、発注者指定により、18件の工事を対象に取り組んだ」
「課題としては、『工期設定の適正化』『対応可能な現場が限られる』などがあるが、『土・日に子どもと遊ぶ時間ができた』『体調管理がしやすい』などの意見も寄せられ、労働環境の改善に効果があったと考えている。17年度は、30件程度の工事において、発注者指定による展開を予定している。さらに受注者の申し出による展開も実施し、課題の把握と取り組みの促進を図っていく」
「県が発注する事業というのは一つのベースとなる。市町村の参考となるし、民間の事業でも一つの目安となるだろう。われわれの方針をしっかり示すことで、働く人たちがしっかり休みを取ることができ、長く活躍していける建設業界をつくっていきたいと考えている」

 

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女性活躍へ率先PRも

 

――少子高齢化による人材不足が深刻化する中で、女性の雇用拡大は不可欠だ。建設業界においても女性の活躍促進は欠かせない取り組みだ。
「愛知県では、建設業における女性の活躍を促進するため、17年度から、『女性の活躍促進宣言』をした企業や『あいち女性輝きカンパニー』に認証された企業を総合評価落札方式において評価する取り組みを新たに実施している」
「また、16年度には、発注者として建設現場における女性の就労環境の改善に取り組むため、『誰もが働きやすい現場環境整備工事』を発注した。県内全域の28件の工事現場において、『男女別快適トイレ』の設置を必須とし、現場事務所、休憩所、更衣室などトイレ以外の施設も一つ以上設置することとした。女性専用トイレの在庫不足や、山間地域では電気・水道の供給が困難といった課題はあるが、受注者からは、『今後も積極的に男女別トイレを配置したい』『異性を気にせず利用できる』など、好意的な意見が寄せられている」
「17年度は、『誰もが働きやすい現場環境整備工事』を発注者指定により、70〜80件の工事において取り組むこととした。特に『快適トイレ』の設置は、受注者からの協議に基づき、設置可能な現場は全て対応することとし、取り組みの拡大を図る」
「建設業は、今まではやはり女性が非常に少なかった職場の一つだろうと思うが、今は機械化が進んで昔のような力仕事も少なくなり、女性でも十分やっていける。建設業こそ女性がもっと活躍できる業界だと思う。職場環境がどんどん改善されているということをもっとアピールした方がよいだろう。そして物を造るということは、非常に達成感があり、面白い仕事だということを、われわれも率先してPRしていくことが大切だ」

――処遇改善とともに重要なテーマとなっている生産性の向上については、どんな対応を行っているか。
「国土交通省が進めるi-Constructionは、ICT(情報通信技術)を活用して測量や施工などで現場の省力化を図ることなどにより、建設産業における生産性を向上させようという取り組みだ。愛知県では16年度から、ICT建設機械を用いて、自動制御により効率的に土工などを施工する情報化施工の取り組みを開始した。具体的には建設部において、設計金額が8000万円以上で、河川工事や道路工事の土工量が1万立方b以上、または舗装工事の車道路盤工が5000平方b以上の比較的規模の大きな工事を対象としており、16年度は4件の工事を発注した。17年度も同様の規模の工事において情報化施工に取り組む予定だ。予算や現場の状況にもよるが、数件程度の発注を見込んでいる」
「週休2日制などの処遇改善を進めることになれば、当然ながら生産性を上げていかなければならない。そのためにITを活用して生産性を向上する取り組みは必要不可欠だ。われわれ行政もしっかりサポートしていかなければならないと考えている。地域の中小建設企業も含めた業界全体に、生産性向上に向けた取り組みを浸透させることが重要であると考えており、まずは、情報化施工の実績を積み重ねながら、地元建設業界の意見にも耳を傾け、引き続きICT建設機械の普及、利用拡大などに努めていく」

――建設業の人材確保・育成に向けて、この他にどんな取り組みを進めるか。
「建設分野に関わる若手人材の確保・育成を目的として、『イブニングサロン』と称する意見交換会を実施している。イブニングサロンは、行政や建設会社、建設コンサルタントなど、すでに建設分野に携わっている技術者などの社会人と、これから進路を決定する学生が参加し、異業種間・異世代間の相互理解を深める場だ。これにより、建設業の魅力・やりがいを発信している。この取り組みは、地元建設業団体などの協力を得ながら、高校、専門学校、大学の学生を対象としており、13〜16年度までに合計15回実施し、延べ約350人の参加があった。建設分野における仕事のやりがい、勤務環境、女性の働き方などの意見交換がなされ、参加した学生からは大変好評をいただいている。今後も引き続き、参加世代や対象者の拡大、女性限定の会を開催するなど、人材確保・育成に向けた取り組みを拡充していく」

 

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アクションプランの取り組みを着実に

 

――16年4月に発生した熊本地震での課題を踏まえ、第3次あいち地震対策アクションプランを改訂した。今後どのように取り組みを進めていくか。
「熊本地震では、車中やテントなどで避難生活を余儀なくされる避難所外避難者への対応や被災者の手元まで支援物資が届かないといった支援物資の配送体制が課題となった。こうした課題に早急に取り組むため16年度、避難所運営マニュアルの見直しに向けた検討会議を開催した。また、災害物流訓練などを実施したところである。17年度は、引き続き避難所外避難者への支援を念頭に置いて、避難所運営マニュアルの見直しを行うとともに、支援物資の円滑な受援供給体制の整備に向けた取り組みを進めていく」
「被災者の生活再建の面では、職員のマンパワー不足などにより罹災(りさい)証明書の交付に時間がかかり、被災者の生活再建支援に遅れが生じた。こうした課題を踏まえ、愛知県では、罹災証明書の交付に必要となる家屋の被害認定調査を災害時に迅速に実施できるよう、研修を受講した職員を『家屋被害認定士』として登録し、災害時に派遣する制度を本年度新たに創設する」
「産業面の課題としては、工場の一時操業停止による影響が広範囲に波及した。災害時に産業が早期に復旧するため、中小企業に対し、BCP講習会などを引き続き実施しBCPの策定を促す。また本年度は、中小企業で構成される工業団地をモデルに『団地版あいちBCPモデル』を新たに作成する。企業同士が連携して取り組むことで各企業の負担軽減につながる事項をとりまとめ、団地全体のBCP策定を支援する」
「愛知県は日本一の産業県であり、大規模災害時においても、愛知・名古屋を中核とした中部圏の社会経済活動を維持することが重要である。そのため、この地域を強靱(きょうじん)化することを目的とした『あいち・なごや強靱化共創センター』を名古屋大学内に6月1日に開設した。産学官連携により、産業の早期復旧に向けた調査研究や人材育成を推進していく」
「今後も、『備えあれば憂いなし』を念頭に、日々の備えを万全にするとともに、アクションプランの取り組みを着実に実施し、県内の防災体制をさらに強固なものにしていきたい」

 

4年間で道路構造物の集中治療実施


大村秀章2

――災害への備えに加え、老朽化対策も進めなければならない。橋梁やトンネルなどの点検・診断の義務化から3年が経過したが、愛知県の点検・診断の結果はどうか。
「橋梁とトンネルの点検については、14年度に着手し、17年度末の進捗率は約80%となる見込みだ。16年度までの点検結果では、『早急に措置が必要(判定区分V)』と判定された構造物は、橋梁で約10%、トンネルで約20%となっている。なお、16年度までの点検で、『緊急に措置が必要(判定区分W)』と判定された橋梁・トンネルはない。愛知県では、今後おおむね4年間を『道路構造物の集中治療』と位置付け、判定区分Vの修繕工事完了を目指しており、予防保全型の維持管理を一層推進していきたいと考えている」
「その他のインフラのうち、15年3月に策定した愛知県公共施設等総合管理計画に基づく『個別施設計画』を策定済みの道路・公園・下水道などの施設については、この計画に基づき維持管理を進めていく。また、河川・海岸・港湾など個別施設計画を策定途上の施設類型は、計画策定を引き続き進めるなど、点検・診断・補修・計画の見直しといったメンテナンスサイクルを構築し、施設の一層の安全性の確保を図っていきたいと考えている」


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鉄道ネットワークの充実・強化が不可欠


――リニア中央新幹線の開通を見据えたまちづくりが本格化してきている。
「リニア開業に向けての愛知県の基本的な役割は、広域交通ネットワークの拠点である名古屋駅の利便性の向上を図り、リニア開業による時間短縮効果をより広域的に波及させ、地域の発展につなげることだ。そのためには、わかりやすい乗り換え空間の形成などによる名古屋駅のスーパーターミナル化や、名古屋駅からの40分交通圏の拡大などの鉄道ネットワークの充実・強化が不可欠となる」
「名古屋駅のスーパーターミナル化の推進に向けては、国、県、名古屋市、鉄道事業者などの関係者による協議・調整に積極的に参画していくとともに、名古屋市が行うわかりやすい乗り換え空間の形成などに関する検討調査を積極的に支援していく」
「鉄道ネットワークの充実・強化については、15年3月に策定した『リニアを見据えた鉄道ネットワークの充実・強化に関する方策案』に基づき、引き続き名鉄三河線の速達化について鉄道事業者などと協議・調整を進めていく。17年度は、中部国際空港のアクセス向上と、東海道新幹線駅の利活用の促進に向けた調査を進めていく」
「また、リニア開通後の新しい時代に向け、リニア大交流圏の中で日本の成長をけん引するため、物流・交流拠点である港湾・空港の機能強化や広域幹線道路網の充実を図る。人の交流や県民生活の受け皿となる安全で活力ある地域づくりも重要である。幹線道路の整備や交通安全対策、河川・海岸堤防の補強などの防災・減災対策、新たな都市拠点の創造や民間活力を生かした都市公園の魅力向上などに取り組み、広域交通基盤から暮らしに密着した生活基盤の整備までバランスのとれた地域づくりを進めていく」

――空港島では愛知県国際展示場の整備が進められており、4月には展示場建設地も含む「中部国際空港東・常滑りんくう地域」(仮称)の都市再生緊急整備地域への指定を国に申し出た。中部臨空地域の将来像をどう描いているのか。
「リニア開業により、首都圏から中京圏に及ぶ5000万人規模の大交流圏が誕生することとなる。国際拠点空港が立地する中部国際空港東・常滑りんくう地域は、名古屋市都心部とともに、この大交流圏をけん引する地域として重要な役割を担うこととなる。当地域においては近年、大型商業施設の開業が相次いでいるほか、愛知県国際展示場やボーイング787の展示を中心とした複合商業施設、格安航空会社(LCC)向け新ターミナル、複数のホテルなどが計画され、新たな交流拠点の形成が進んでいるところだ。リニア大交流圏の誕生を見据え、さらなる民間投資を呼び込み、国際交流拠点として都市機能の強化を図っていく必要がある」
「都市再生緊急整備地域の指定を確実に受けることで、都市計画の特例や税制優遇などの支援措置を活用し、民間都市開発を後押していく。また現在、愛知県が取り組んでいる国際展示場を中心とするMICE機能の充実、中部臨空都市における企業誘致、そして中部国際空港の2本目滑走路の早期実現をはじめとする空港機能の強化についても、引き続き推進していく」


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アジアへ先進的な建設技術を発信


――26年には愛知・名古屋で第20回アジア競技大会の開催が控えている。建設業界に協力を求めることは。
「アジア最大のスポーツの祭典である大会の開催都市として、大変大きな役割を担うことになる。アスリートファーストの観点を踏まえながら、愛知らしく簡素で質素な、そして機能的で合理的な大会とし、国際的なスポーツ大会の『愛知・名古屋モデル』をつくっていきたい。競技会場は、愛知・名古屋に集積する既存のスポーツ施設を活用し、大会開催に向けて必要に応じて運営諸室や観客席などの仮設整備をすることにより、大会経費の低減を図る」
「選手村は、名古屋競馬場が移転した土地に建設することとしている。大会には選手はじめ各国関係者約15000人の参加が想定されており、安心・安全・快適に滞在できるのはもちろんのこと、選手がリラックスでき、競技に専念できる環境を提供できるようにしたい。また、選手村として使用した施設を大会後の街づくりにも活用することが重要である。そこで、本年度は名古屋市とともに選手村の後活用を踏まえた基本構想を策定するための検討を行っている。建設業界の方々には、計画・設計・施工の各段階において積極的に参画していただき、各社の技術力を発揮して、工期短縮、経済性、環境に配慮して確実に事業を進めることができるよう協力をお願いしたい。新技術・先進技術、環境配慮工法については、さらなる研究開発を進めて積極的に提案し、愛知・名古屋からアジアへ先進的な建設技術を発信できるよう取り組んでいただきたい」

(2017/06/29)

 

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