2013年1月の町長選挙により町政運営の舵取り役となった佐川秀紀町長。これまでの社会資本整備に加え「町民主役のまちづくり」をスローガンとした、第1期佐川町政がスタートした。求められる防災対策と基盤整備などについて、今後の取り組みを聞いた。
町民主体のまちづくりをベースに「安全・安心で快適に暮らせるまちづくり」・「一次産業、地場産業の育成」・「スポーツ・文化の振興と青少年の健全育成」・「自助・共助・公助の福祉の充実」・「行財政改革、下水道の普及促進、飲料水の安定確保、ごみの減量化などの課題解決」を公約の5本柱に挙げました。私の政治姿勢としては、まちづくりに携わる者は「心」が必要。「心」とは相手を思いやる心、人に優しい心、全てのものに感謝する心。そういった心を持ってまちづくりを行い、町民の皆さんが心優しく笑顔で過ごす事が出来るように努めて行きます。
−南海トラフ巨大地震による中山間地災害への新たな対応−
砥部町は、地理的な条件によるものなのか、幸いにも風水害による被害が非常に少ない地域です。そのため住民の自然災害に対する危機意識は高いとは言えません。今回、南海トラフ巨大地震の規模が大幅に見直された事に対して、安全で安心して暮らせる町づくりのため、早急に「防災対策」の充実に向けて取り組まなければならないと考えています。
今回想定されている南海トラフ巨大地震が発生すると、本町では最大震度6強となっています。誰もが全く経験した事のない大きな揺れとなり家屋倒壊や土砂崩れ、ライフラインが途絶するなど甚大な被害が予想されます。現在の砥部町地域防災計画は、今回の南海トラフ巨大地震の被害を想定した計画とはなっておらず、内容の変更について検討を進めているところです。南海トラフ巨大地震に対する新たな対応をどう考えているかという事ですが、今のところ現在の計画を強化する方向で検討を進めており、特に次の3項目についての強化を考えています。
@住民への情報伝達
町から迅速で的確な情報を提供し早めの避難を促せるよう、あらゆる媒体を使って災害情報などを発信できる伝達手段の充実に努めます。現在は防災行政無線・広報車が主となっていますがメールやテレビ・ラジオを使っての情報提供にも取り組み、住民がいろんな場面で情報を受け取れるようにします。
A災害時要援護者の避難対策
本町でも一人暮らしの高齢者が増加しており、災害時への不安を感じている方も多いと思われます。そこで、地域の中で高齢者や障害者の方々の避難を支援する「災害時要援護者避難支援対策事業」を実施しています。この事業の周知を継続し、事業への加入者を広げて行きたいと考えています。
B自主防災組織の育成
本町の自主防災組織の組織率は現在90.8%。一部組織化されていない地域もありますが、設立に向けての取り組みも進んでおり、町内ではおおむね設立されたと考えています。しかし、災害時にどれだけ活動が出来るのかという事については、まだまだ不十分であると思っています。地震直後は町や消防などの公的援助にも限界があり、まず自身は自分で守るという「自助」や、地域の中で助け合う「共助」という意識で避難・救助・初期消火などをいかに早く対応するかが重要であり、命を守るポイントになると思います。その意味で、自主防衛組織の存在は重要であり、いつでも活動出切る様に日頃の備えや災害に対する意識・知識を身に付け、組織育成に努めていきます。
−公共下水道の整備−
2011年4月に第1期事業区域の一部が供用開始となりました。今後、1期工事の面整備を積極的に進めていきます。
−今後の道路整備−
国道379号の岩谷口バイパスは、残り延長230bの銚子大橋の整備が残っています。砥部と広田の一体化を計る上においても重要な路線であり早期完成に向け県・国に働きかけていきます。また、県道大平砥部線改良事業も具体化してきており、同路線についても働きかけを進めて行きます。
特に広田地域は、道路の幅員が狭くガードレールが設置されていない箇所も多いため、今後、危険箇所を把握し早期改良に向けて取り組みます。
−橋梁の長寿命化事業−
同事業については、2013年度から調査・設計などに取り組んでいきます。調査結果を基に、今後、改修および架け替えなどの検討を進めて行きます。
−耐震化事業−
2012年度で全小・中学校施設の耐震化は完了。13年度は砥部幼稚園、砥部小学校屋内運動場、砥部焼創作館の改修を実施。防災拠点施設整備としては砥部消防署の改築事業に着手しています。
−えひめ国体に向けて−
2017年に開催される「えひめ国体」のバドミントン競技会場に砥部町陶街道ゆとり公園体育館が決定した事を受け、体育館の改修工事と、体育館周辺地に競技本部などとしても使用できる補助体育館の建設を計画しています。13年度で建設地を確定し14年度には設計などを委託する方針です。
−上水道事業−
紫外線処理施設の詳細設計など、第8次拡張事業に着手するとともに老朽管の更新を計画的に実施し、より安心安全な飲料水の提供に努めます。
公共工事の減少などにより、建設業界を取り巻く環境は依然厳しい状態にありますが、政権交代による経済対策により少しずつ景気が上向いているように思われます。そういった中、関係者の皆さまは地域の基幹産業として地域経済や雇用を支えて頂いています。特に災害時には、地元業者の皆様は応急対応の要となる存在だと考えています。地元業者の育成のため、出来る限りの施策を実施してまいりますので、新分野への取組み、技術開発など、創意と工夫を持って厳しい時代を乗り越えて頂きたいと思っています。
(2013/8/23)