2017年4月に再選し、中平市政の2期目がスタートしておおよそ半年が経過した。1期目の任期中には、四国横断自動車道・佐賀大方道路の事業化決定や、老朽化した学校施設の改築、津波避難タワーなどの防災対策を進めてきた。今後のまちづくりの展開、四万十市が抱える課題、抱負や建設業界へのメッセージなどについて、中平正宏市長に語ってもらった。
■1期目の成果と今後に向けた課題など
市長への就任前の状況を考えると、佐賀IC〜大方ICの事業化については思った以上に早期の実現にこぎ着けたと感じている。一方で大方から旧中村までの約6`区間は事業区間として今回は含まれなかったため、今後はこの延伸が課題と捉えている。また愛媛県からの流入口となる国道441号についても、網代バイパスは開通しているが、その後の整備を県に要望し進めていかなければならない。
■中心市街地などのまちづくりについては
高規格道路などの道路整備が完了するまでに四万十市が単なる通過点とならないよう受け入れ体制を整える必要がある。マスタープランに沿った市街地の整備と、まちなか再生検討委員会による整備が最後のチャンスと感じている。まちなか再生検討委員会では旧土豫銀行跡地の活用を行う。8月に公募型プロポーザルで委託先を選定し、四万十にぎわい商店に委託先を決めた。比較的若い人を中心とした構成なので、これからの四万十市を担う人材としてのアイデアに期待をしている。
■JA高知はた本所と文化センターなど市公共施設との合築計画については
官民一体の施設を合築する方向で協議を進めている。建設場所は現在のJA高知はた本所、中央公民館を中心とした敷地で考えている。市街地中心部での避難所が少ないため、災害発生など有事の際の避難場所としての役割も期待できる。中村駅との動線も考え、この位置が最適だと思っている。今後はさらに具体的な協議を進め、スケジュールなどを決定していきたい。
■老朽化した市営食肉センターの建て替えについては
市内部の検討委員会で計画策定を進めている。今後は具体的な計画の詰めに移る。現在の施設では現行の基準に達していない部分があり、JACCP(ハサップ)にも対応する施設整備を考えている。地産地消に加え、今後は県外、将来的には国外へと展開できるような足掛かりとしていきたい。また雇用の拡大も期待している。現状で運び込まれている豚は県外産が中心なので、幡多地域の養豚場も増やしたいと考えている。市の直営とはならないが、協力できる方法を考え、促進していきたい。
■南海トラフ地震などの災害対策について
沿岸部の避難路、津波避難タワーの整備についてはある一定のめどが立った。現在進めている八束地区での防災拠点施設の整備、また八束保育所の高台移転でおおむね施設整備が完了する。一方で過去を振り返ると、四万十市では昭和南海地震の際に液状化により市街地中心部で大きな被害が発生した。こうした対策や、中心部での電線の地中化についても検討していきたい。
■学校施設の整備について
大用中学校の屋内運動場改築を進めており、完成により耐震化は完了する。少子化もあり、学校施設については統廃合計画も策定していく必要がある。加えて今後は老朽化した施設の大規模改修をする必要があり、先行して中村西中学校の改修を考えている。
■建設業界に向けては
入札の不調、不落が発生しているので、市としても実態にあった積算を進めるとともに、業者側からもぜひ意見を言ってもらいたい。また災害発生時の道路啓開を考えても、各地域にそれぞれ建設業者が残る形が望ましい。財政再建も重要だが、税収を増加する方向に進むことがベストだと思う。例えば公共投資に国が今後10年どれくらい支出するかといった指標を出せば、建設業者としても雇用や設備投資の面で先を見通した判断が可能なのではと考えている。